フォードvsフェラーリのレビュー・感想・評価
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モータースポーツに興味が有ろうが無かろうが、そんなこと関係無し!清々しいまでの漢の世界に心が燃える燃える!
モータースポーツ界の絶対王者フェラーリに挑むフォード・モーターの姿を迫力満点の映像で描く、史実を基にしたレーシング映画。
監督/製作は『ナイト&デイ』『ウルヴァリン』シリーズのジェームズ・マンゴールド。
元レーサーのカーデザイナー、キャロル・シェルビーを演じるのは『オーシャンズ』シリーズや『インターステラー』の、名優マット・デイモン。
崖っぷちのレーサー、ケン・マイルズを演じるのは『ダークナイト』トリロジーや『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の、オスカー俳優クリスチャン・ベイル。
ケンの息子、ピーターを演じるのは『ワンダー 君は太陽』や『クワイエット・プレイス』のノア・ジュプ。
フォード・モーターの副社長、リー・アイアコッカを演じるのは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『ベイビー・ドライバー』のジョン・バーンサル。
第92回 アカデミー賞において、編集賞と音響編集賞を受賞❗️
第73回 英国アカデミー賞において、編集賞を受賞!
名優マット・デイモンとクリスチャン・ベイルのW主演!
私はモータースポーツに興味が無い全くの素人ですが、そんな人間でも十分に楽しめました。
とはいえ、多少は時代背景や専門用語は知っておいた方が良いかもしれません。
1960年代初頭のフォードやフェラーリがどういった状況だったのか映画を観ていればなんとなくはわかりますが、ちょっとわかりづらいところもあるかなぁと思います。
専門用語やレースのルールなど、分からなくても問題はないですが、やはり多少は知識があった方が、より映画を理解できるのだろうな🤔
この映画のタイトルは『フォードvsフェラーリ』ですが、あまりタイトルが適切では無い様な…。
確かにフォードがフェラーリに対抗意識を燃やしたところが物語の起点ですし、実際にルマンで闘うわけですが、フェラーリとの勝負にはあまりリソースを割いていないと感じました。
フェラーリのレーサーにライバル的な人物を登場させて、ルマンで熱いバトルを繰り広げるというような、少年漫画的な展開にもすることが出来たと思うのですが、あえてその様な作りにはしていないのでしょう。
『フォードvsフェラーリ』というわかりやすくキャッチーなタイトルはあくまで集客のために過ぎず、主題は別のところにあると思います。
この映画での戦いとは、「どれだけ己の信念を貫けるのか」ということです。他者との戦いは副次的なものに過ぎません。
マット・デイモン扮するシェルビーは、かつてはルマンを制した天才ドライバーだったが、心臓の病から引退を余儀なくされ、今は自らの会社を立ち上げカー・デザインとセールスを行なっている。
クリスチャン・ベイル扮するマイルズは、天才的なテクニックと知識を持っているが、人間性に難があるためスポンサーも得られず苦しい生活を送るレーサー。
燻っていた2人が打倒フェラーリというミッションの下に手を組み、反目しながらも絆を深め、やがてルマン24時間耐久レースに挑むという展開に燃えないわけがないっ!
はじめは会社に従っていたシェルビーだが、マイルズと共にレーシングカー開発を行っていくうちに自らの信念を貫くために組織と戦う覚悟を決める。
協調性の無かったマイルズは、シェルビーをはじめとするクルーと協力してレースを戦い抜いていくうちに、勝敗を超えた何かを見出す。
会社からの圧力に苦しみながらも、苦難を乗り越えて成長していく主人公たちの姿には、『ロッキー』を思い起こさせる様な反骨精神とバイタリティがあり、自分自身の心に火をつけてくれます!
特に良かったのは、デイトナ24時間耐レース!
自身の会社を賭けてマイルズをルマンのレーサーに推薦したシェルビーの漢気と、息を呑むようなレース展開に圧倒!
あまりの熱さに何故か涙が…🥲
もう一つのこの映画の見所は家族の絆でしょう。
夫のレーサーという仕事に理解を示し支え続ける妻と、それに応えようとする夫の夫婦愛の美しさ。
父と息子の心温まる交流には涙…。
息子役のノア・ジュプくん、凄く良かったです。
ただ、肝心のルマン24時間耐久レースが少し盛り上がりに欠けた気もします。
シェルビーの汚い工作には笑いましたが^_^
もう少しフェラーリとの対決をしっかり描いても良かったのでは?
えっ、フェラーリこれで終わり?って思ってしまいました。
あと、クライマックスがあまり好きでは無いですねー。
最後の展開は蛇足に感じてしまいました。
ルマンでのレースをエンディングにして、マイルズのその後はエンドロールで説明するとかの方が良いのでは?
とはいえ、全体的には非常に楽しめました!
劇中の音楽もクールだし、エンジン音などは迫力抜群!何より映像が凄え!!
役者の演技といい、怒涛の展開といい、主人公の葛藤と成長といい、全てが満足に足る出来の素晴らしいエンターテインメント作品です。
劇場で観なくてはいけない一本!
"She is fast." "Will be faster." 迫力のレースと車に人生をかけた男達の物語
正直カーレースに関しては全く知識がないのですが、更に言うなれば「24時間もレースとかやってどうすんの?」っと思ってしまうぐらい興味もなかったりするのですが、本作はメチャメチャ面白かったです!車に人生をかける男たちの物語。いいね!戦ってる相手はフェラーリじゃなかったですけどね。
もうレースのシーンはこっちまでドキドキしてました。コーナーのギリギリ攻めたり、ぶつかりそうになったりと観てるこっちも変に体に力が入って一緒に動いてしまう感じです。レース中、先に何があるか分からないのに煙の中に突っ込んで行ったりするのって、よくよく考えるとメッチャ怖いですわ!事故車いたら一貫の終わりやん。いやー、スゴい世界だ。
クリスチャン・ベールって去年は「ヴォイス」で太ってたはずなのに、今回はまた痩せてましたね。相変わらずカメレオンっぷりが半端ないです。太った役をやったら次は痩せた役という風に敢えて選んでるとしか思えません。体に悪そうだなぁ。そうそう、ブリティッシュ・イングリッシュがメッチャ上手い!っと思って感心してたら、まさかの英国出身!!バットマンとかやってたので勝手にアメリカ人だと思ってました。逆に今まで米語が上手かったんですね。ビックリ!
マット・デイモンもいい感じでしたね。キャロルがフェラーリ側からストップウォッチ盗んだり、こっそりナットを投げ込んだりとイタズラしてるのがちょっとツボでした。タチ悪っww
後、個人的に好きなジョン・バーンサルが出演してたのも嬉しかったですね。検索したら演じたリー・アイアコッカは後にフォードの社長になってるんですね。ジョン・バーンサルが常識人を演じるのって珍しいような気もします。
終わった後に映画のポスターの車を見ながら熱く語ってる人がいたりして、日頃映画を観ない層も取り込んでいるんだなぁっと思いました。きっと彼らは映画の影響を受けて飛ばしたくなっていて、帰り道安全運転するのが大変に違いない!
お父ちゃん頑張れ
それほど期待せずに観たら、、、良かった。
レース描写は臨場感抜群、手に汗にぎります。
レースの勝者は映画の流れとして分かり切っているものの、死亡フラグ的なカットが多数あり、え?ここで故障するのか?!と思わせるとこが多数です。
レッドゾーンに突入するタコメーターを何度も映すのが心臓に悪い。。。
クリスチャン・ベール演じるケン・マイルズが実際にどんな人物だったか知らないけど、映画の中では車にしか取り柄がなく(ずば抜けているんだけど)、ややすれば社会不適合者の烙印を押されかねない人物だけど、奥さん美人でレース活動を応援しているし、息子も素直で純粋にお父ちゃんを応援してて家族愛が素晴らしい。ホント奥さん美人(カトリーナ・バルフ)
レースの勝利後や開発中の車に息子を呼んで隣に乗せるシーンは本当に素敵で思い出すと涙が出てくる。
映像や音楽がちょっとノスタルジックで余計に涙を誘います。
タイトルほどフォードとフェラーリの対決がクローズアップされている訳ではなく、主な対決はフォードの副社長vs現場でした。
あの副社長忌々しい!
そしてマット・デイモン演じるキャロル・シェルビーが中間管理職として壁になりきれず、副社長の無茶な要求をマイルズに漏らしてしまうのがこの映画最大の残念ポイントの一つ。
せっかく社長をレース車両に乗せて問答無用の説得をしたのに、なんで副社長の要求にぐらついちゃうかな~。(これも実話?どうなんでしょうね)
最後はただただ涙。
映画館だったから我慢したけど、自宅で一人だったら滝のような涙が出たと思う。
観て良かった。
衝撃
手に汗握りました!と軽々しく言えない結末。
怒りと切なさ。
ケンマイルズの純粋さに胸を打たれる。
技術屋の気持ち、すごい共感するし
一流なら、より良いモノを作りたい、結果を出したいのは当たり前。
フォード許せん!
勝負の世界に政治を持ち込むな!
ケンマイルズの心中はいかばかりだったか…
あれは一種の自殺だったのかなと思ってしまう。
あえて車から出ずに心中したのかなって。
レーサーも登山家もみな、好きなことで死ねたら本望だって言うものね。
ル・マンや車のことを詳しく知らなかっただけに
壮絶なストーリーにショックを受けたけれど。
見終わったあとも、胸に迫ってくる素晴らしい映画。
【7000rpmでぶっ飛ばせ!。大迫力のレースシーンにアドレナリン大放出。”二人の車のプロ”と”フォードの醜い背広組”との闘いを描いた作品でもある。】
かつて、ル・マン24時間レースで優勝したキャロル・シェルビー(マット・デイモン)と元レーサーで自動車整備工を営みつつ再起を図るケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)は久しぶりに会った瞬間に”こいつは俺と似た匂いがする”と思ったに違いない。
現在は、車のセールスマン(と、デザイナー)になっているシェルビーと自らの自動車整備会社が国税局から差し押さえされたマイルズは不思議な縁で結ばれている。
合間に挟み込まれる、マイルズの妻モリー(カトリーナ・バルフ:夫を想う姿を実に上手く演じている。良い。)とマイルズとの”夢を諦めるのか”という遣り取り。父を誇らしく思う息子ピーター(ノア・ジュブ)の姿。
コンベアーで車を大量生産するフォードと据え組付け(今でいうセル方式に近いかな)で一台一台手作業で車を作るフェラーリは、自動車製造の考え方が根本的に違う部分や、フォード2世とエンツォ・フェラーリのレースに対する姿勢も、お互いへの軽蔑した想いも含めて上手く描かれている。
妻モリーの脅しにも似た後押しで、フォードをル・マンで優勝させるためにマーケット戦略を担当するリー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル:良い味を出している)に請われたシェルビーと手を組むマイルズ。
高速走行しながら、的確にスポーツカーの修正点を次々に指摘するマイルズ。ここの技術屋たちとの会話が面白い。(分かる人は、車設計に可成り精通していると思う。)
マイルズはテスト中に”フェード現象”のため、レースカーが制御不能になり炎に包まれるが、耐火服のため助かる。が、目撃したピーターの不安は増す。ここのシーンも後に効いてくる。哀しいが、上手い・・。
実力派フォードのレーサーの中でも車設計にも関与しているマイルズは群を抜いているが、妥協しない彼の態度に、フォード副社長レオ・ビーブ(ジュシュ・ルーカス:嫌われ役を実に上手く演じている。)の”意見”でル・マン挑戦初年度は、参戦を見送られる・・。シェルビーも渋々従うが、フォードは全台リタイアという結果に・・・。
フォード2世を説得するシェルビーの”大企業の無駄”を指摘するシーンや、テストレース場で、彼をレースカーに乗せレーサー達が体感するスピードを体験させるシーンも実に良い。
そして、とうとうマイルズは”ル・マン”に参戦する・・。
この映画の最大の魅力は、ケン・マイルズがコーナーを攻める際のギア・ダウンから高速のまま素早くシフトアップし、アクセルを踏み込み一気に相手を抜き去るシーンを含め、ギアチェンジの映し方が実に上手い所とその際の観る側が得る爽快感であろう。
「ラッシュ/プライドと友情」よりも良いのではないか?(個人的な意見です。)
又、シェルビーの”今だ!という声とドンピシャのケン・マイルズのギア操作も二人の結束を示しているようで、とても良い。(観ている側も心の中で、”今だ!”と叫ぶ。)
マイルズはフェラーリの1号車と競り合い、相手ドライバーが意地になって9000RPMまで上げてしまい故障・・。悠々と1位を確保するかに見えたが、レオ・ビーブが再び観客席から”余計な”進言をして・・。
ここでの、マイルズの決断は観ていて心に沁みる。
彼は、レオに従ったのではなく(何が組織の一員だ!と心の中で激しく毒づく私である。)、既に親友ともいうべきシェルビーの身を想っての行為だったと思う。
又、レース終了後にマイルズと目が合った、エンツォ・フェラーリの少しだけ被っていた帽子の鍔に触れる仕種も良い。
- エンツォ・フェラーリは、”フォード”ではなく、マイルズとシェルビーのレースに掛ける根性に敬意を表している事は、観れば分かるが、同じくF1レースを愛する者通しが心を通わせる、粋なシーンである。ー
ラストシーン、シェルビーがマイルズの息子ピーターと交わした会話と手渡しした”モノ”。モリーに小さく手を挙げるシーンとその際のシェルビー(=マット・デイモン)の表情。
<そしてスポーツカーに乗り込み、重厚なエグゾースト音を”友とその家族に残して”走り去るシェルビーの後ろ姿にジワリと涙した作品。>
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2020年1月15日追記
幾つかのシークエンスと台詞を再確認したいと思い、仕事の後で疲れていたが、”あと30分、夕食までには帰すから・・。”というシェルビーの声に導かれ、レイトショーで再鑑賞。
エンツォ・フェラーリの、フェラーリ1号車がリタイヤした知らせを受けた時のセリフ(仕方ないな・・という表情に見えた・・。)を聴き取りかったが、難しかった・・。
が、脳内で類推した台詞だろうな・・と思い、勝手に満足。
何よりも今作品が、再鑑賞すると面白さが”加速する”事を確認でき、大満足で帰宅した。
<2020年1月10日 映画館で観賞>
<2020年1月14日 映画館で再鑑賞>
レースシーンが凄く良かった
・7000rpmの感覚が凄そうだった。ケンが何度もそれ以上のrpmで疾走しているのに、普通にして運転してるように見えて、そうでもないのかなとも思った。
・レースでのギアチェンジ、クラッチ、アクセルなどのシーンがとても良かった。クライマックスの同時ゴール直前に最高記録を出したシーンが良かった。
・ブレーキが利かなくなる状態のシーンが何度もあって何でかなぁと思ったらラストに事故で亡くなってしまい驚いた。ラストでテスト?なのにブレーキが壊れるって壊れすぎじゃないか?と思った。
・ブレーキが故障した時に、タイヤを外したら交換できるんだと驚いた。
・フォードの社長が試作車で大を漏らしたであろうというシーンで、その後、ずっと臭そうだなぁと思った。
・専門用語とまではいかないと思われる単語がどういう意味なんだろうとすこしぼんやりした。デイトナは時計?車種?とか。
・奥さんがケンと一緒に車で色々と問い詰めるシーンを見て、車は動く監獄だなぁと思った。ああいう形で尋問されたらたまらないなぁと思った。
・車を一から作るのかと思ったら英国車を改造していって驚いた。
・フェラーリのピットでナット一個で大騒ぎになってて、あぁそうか。とパーツ一個でもないとそうなるかと思った。
・ケンの家からスーパーが物凄く近くていい場所だなぁと思った。だから引越したくなかったのかなと思った。
・作品とは関係ないけど、指定席の場所に行ったら別の人が座ってて間違いました!とそそくさと退いた。けど、改めて何度も考えていくと買った場所が良くなくて、空いてたらそこで観ようとしていたに違いない!と会話シーンなど落ち着いた時に思い出しては考えてしまい、時折ひねったセリフ回しを理解できず、少し気持ちが散漫になってしまった。
・フォードがフェラーリと合併しようとするシーンで、フェラーリの社長が、ルマンに我々が出たいと言ってフォードがそれに反対だった場合どうする?と聞かれ、答えはノーでフェラーリの社長がフィアットの買収が成立したから契約をしない!と強引に話を切ったシーンで混乱してしまい、少し意識がぼんやりしてしまった。好意的な答えをしたと思ったけど、違ったのかな。それとも、好意的な答えをしたのに、レースに対する気持ちを侮辱した!と言うのも受け入れられなくないか?と訳がわからなくなってしまった。単純に、理不尽な交渉の破棄って事だと思うけど、そこだけ見直したい。
素晴らしかった
軽なのだけどマニュアルのスポーツカーに乗っているのが嬉しくなる映画で、レースシーンもたっぷりでお腹いっぱい。社長を乗せて泣かす場面が面白い。マット・デイモンがレーサーでなく、裏方であったのが意外。副社長のチームも成績がよかったので、クリスチャン・ベールが同行しなくても充分勝ったのではないだろうか。
マット・デイモンがちょいちょいフェラーリチームに妨害工作をする。そんなズルをしなくても充分強いのになんでするんだろう?と思う。
奥さんがあまりに完ぺきで絵空事のように思える。
アメリカが勝つアメリカの映画
物語の一つの軸はややエキセントリックなレーサーの家族愛であり、もう一つはアメリカが勝つアメリカの映画であること。フォードは今もアメリカのわかりやすい象徴なのかもしれない。
経営者として有名だったリー・アイアコッカも出てきた。今年亡くなったらしい。
台北で鑑賞。
英語だけ聞くよりも中国語の字幕が理解の手助けになったが、ついていけずに退屈する場面もあった。しかしそれは私の語学力のなさゆえであって映画のせいではない。
【7000回転で見えるもの】=究極の運
フォードVSフェラーリ
【日本最速IMAXレーザー 2D試写会 12/9】
【IMAX 2D試写会 12/12】
鑑賞日 12/9、12/12
日本最速IMAX試写会の招待を頂いて鑑賞。最初に、トレンディエンジェルのお2人と、「ル・マン24時間耐久レース」に出場経験があり、“ドリフト・キング”の異名でも知られる元レーサーの土屋圭市さんが登壇された。
そこで土屋さんが最初しきりに仰っていた。
「俺は運がいい」と。
きっとそれは今回の映画にまさに言えることだと思う。最後クリスチャン・ベール演じるケン・マイルズが亡くなったのは、「7000回転の先に見えるもの」についに裏切られてしまったからだと僕は考える。
つまり、「7000回転の先に見えるもの」とは、『究極の運での命のやり取り』なのではないだろうかと思う。ケン・マイルズさんにご冥福をお祈りします。
ダークナイト三部作で表向きは礼儀が正しい品のある青年を演じていたクリスチャン・ベールは今作では、気性の荒い頑固なレーサーを演じており、その差もとても面白かった。
マット・デイモンとクリスチャン・ベールの喧嘩や罵りあいやジョークも本当に面白かった。
また、今作はIMAXで絶対見るべきだと思う。腹の底まで車のエンジンの音が響くし、今作1番の見所の迫力のあるレースが大画面で楽しめる。レースのクライマックスで流れる音楽もIMAXのスピーカーで聞けばもっと鳥肌が立つと思う。
レースと映画全体の最後はとても意外性があったし、それも楽しめた。結局ケンはフォード社の命令通りに3台同時ゴールしたのに裏切られ、それをやり直そうと決意をして次のレースへ準備をしていたのに亡くなってしまう……そんな皮肉なラストも今回のアカデミー賞に相応しいのではないかと思う。
1つのカーアクション映画としても、男の友情ドラマとしても、本来レースというものはどういうものなのかを問う映画としても、とても素晴らしいと思う。とてもオススメ。

記録よりも、記憶に残るヒーロー
TOHOシネマズ新宿にて試写会鑑賞。
この作品は実話に基づいた作品の為、モータースポーツや車に詳しい人は結末が分かってしまうのかもしれない。僕は全く詳しくないが、ただただ楽しめた。
アメリカ人初のル・マンチャンピオン、シェルビーは心臓病の理由から優勝を機に選手生活にピリオドを打つ。
引退後は設計士として働く。
一方フォード社はフェラーリの買収に失敗したことに腹を立て、当時絶対無敵だったモータースポーツの王者フェラーリを倒す野望を打ち立てる。そこで最強の車を作るためにシェルビーにオファーを出し、シェルビーは快諾しフォード社の一員となる。
シェルビーは以前から小さなモーターレース大会(あまり車に詳しくない為あってるかわからないが)の時からマルイルズ目をつけていた。その為彼を誘い、彼もまた一員となり最強の車を作るわけだ。
その過程でマイルズがより速い車の開発への力を発揮し、シェルビーは彼をドライバーとしてル・マンへの参加を熱望する。
しかしフォード社は参加、優勝することは広告も兼ねてる為マイルズがドライバーとしての参加は許さない。
そのため一度目は大惨敗する。
翌年もう一度参加を決めるが過去の失敗やシェルビーの助言から今度はマイルズをドライバーとしての参加を認める。
そしてマイルズは力を発揮し優勝の一歩手前までいくのだが、今度はフォード社がマイルズではなく、同じく参加している他のフォード社のドライバーの優勝を企みマイルズを陥れ優勝を逃させる。
これまで破天荒で荒々しいマイルズだったが、状況を把握し最後はシェルビーと握手を交わし翌年の優勝を誓い合う。しかし彼がは翌年の大会に参加する前に練習中に事故でこの世をさることになるわけだ。
この作品はとにかくシェルビーとマイルズのやり取りがとにかく面白い。彼らは勝つことももちろんだが何より車を愛している。車を誰よりも愛してるからこそ追求し、それを結果として残すわけだ。
ただ同時にシェルビー達にとっては頭を悩ますフォード社の存在も面白い。
膨大な資金投資はしてくれるが、やはり一企業のためただの勝利を望んではくれない。あくまでフォード社の存在を世界で一番だというツールに過ぎないわけだ。
そのあたりの葛藤が見ていて惹きつけれる。
最初見る前はフォードカッコいい!!的な映画なのかなと思ったら、全く逆でフォードの愚かさがとにかく分かる。ヒーローとその仲間の友情、会社との葛藤がたのしめるヒューマンドラマで楽しむ事ができた。
鑑賞するならこの作品はIMAXだとより楽しめるのではないか。とにかくエンジン音の臨場感、迫力感がすごい。まるで近くでエンジンがかかったレーシングカーがあったり、乗ってる感覚になる。
劇場公開される来月にはまた観に行きたいと思う。
People, they want some of that victory ! FADDY DADDYより。
ある悲しみを抱えた女性が、尋ねる。
What is so important about driving faster than anyone else?
男は答える。大抵の人は、惨めに人生を過ごている。しかし、ドライビングテクニックがあれば物事は違う....そして、レイサーの有名な台詞へと
"When you're racing, it's life. Anything that happens before or after is
just waiting."......と
映画「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道(2005)」では名だたる映画賞を受賞をし、また「LOGAN/ローガン(2017)」では、ある意味、個人的に言えるなら反感を買いそうなシナリオに対して、監督が、世界の自動車産業界の雄としてだけでなくアメリカ”ソノモノ”と言えるフォード社の一大ロマンを’下手’に映画化しようものなら人から何を言われるかわからず、それだけでも映画化は無理と考えて、まして普通の神経の持ち主なら、二の足三の足を踏んでしまいそうになるはずが、彼はやってのけている。
アメリカのデトロイト生まれで、大戦中は、海軍に所属し、父親が残した負の遺産をその手腕から、建て直した男ヘンリー・フォードⅡ。彼の人柄と精神構造を垣間見ることができるのが、フェラーリの買収にまつわるこの映画のスタートと言ってもよいエピソードに続く。日本の本田も映画「Grand Prix(1966) 」では”ヤムラ”という名前で登場し、自分たち自ら、F1の事を称して”走る実験室”なんて呼んでいた当時の”モナコグランプリ’66”の記録映像が残っていて、半世紀以上前に、フォードがル・マンに本格的に参戦したのと同じように1964年に本田もF1レーシングシーンに参戦している。
-James Bond "doesn’t" drive a Ford-
フォード車の総支配人兼副社長であるリー・アイアコッカ(のちにフォード社社長)の提言によると、たぶん彼自身の天性の察知能力から、すぐそこまで来ているモータリゼーションをにらみ、高出力・高排気量のマッスルカーの誕生と需要が必ず来ると予見し、是が非でもル・マンで勝つ必要があると考え、手っ取り早くアメリカ流・”金が全て”という思考からフェラーリの買収に金を積んで臨んだと思われる。映画でもそのことは語られているが、フェラーリはフェラーリでタヌキをだます狐らしく、”コメンダトーレ” と呼ばれたエンツォ・フェラーリによって天下のフォード社が当て馬にされ、フィアットから提示される買収金額を上げさせるためにだけフォードは利用されたとされる。端的に言うと、フェラーリ側が最初に自尊心を傷つけられたと思わせておいて、実はヘンリー・フォードⅡ側の方がより自尊心を傷つけられているように描かれている。フォードの重役の一人が、「彼らが1年かけて生産することができる台数を我々フォードでは1日で生産出来る。」と豪語していたが、いざ'ル・マン'のこととなると、車自体の性能が.....
企業理念を超えた”アメリカで最も有名で強力なCEO”の意地と”地球を歩く最もナルシシズム的な男”の意地が、あたかもエゴイスト同士の意地と意地が真正面からぶつかり合うように物語は始まる。
最初の頃は、それほどまでル・マンに関しては、社主であるフォードⅡは、あまり乗り気ではなかったようだが、エンツォ・フェラーリのおかげでモーターサイクルという世界が面白くなったのかもしれない。
”You are not Henry Ford, you are Henry FordⅡ.” なんて言われた上に
He said Ford makes ugly little cars in ugly factories.
He called you ”fat”, sir. 怒り心頭のヘンリー・フォードⅡ
We're gonna bury Ferrari at Le Mans. 本格的に参戦する意思を固める。
(He:エンツォ・フェラーリ)
本編はこのように始まる。実際の本人も患っていた心臓病が原因でレイサーを諦めたシェルビー。ル・マンで黄金時代を築いていたフェラーリの’鼻を明かす’為に技術屋として召集され、ある競技会で偶然にもイギリス人レイサーのマイルズとの出会があり、羽陽曲折しながらも、二人の友情が作り上げられ、それと同時にV-8 engine搭載のFord GT40 Mark IIも2人の努力で日の目を見る。
-World’s most brutal, tortuous automobile race.-
そして、映画もラストに近づくとお待ちかねの”1966 24 Hours of Le Mans”のレースの見せ場の佳境に入ってゆく。フェラーリとの血で血を洗う、息をもつかせない、手に汗握る攻防戦を鮮やかなカット割りの撮影手法で映像化をしている。付け加えると画面と爆音が融合することで”BP"の広告看板をしり目にフォードGT-40がターンとターンを通るたびに飛んでしまうかのようにボディーがガタガタと....耳障りなサウンドスケープ と怒号が創り出す純粋な音による暴力となり見ている者を釘付けにしてしまっている。
最初から映画が幕を閉じるまで、うっとうしくなりがちな生臭い会社内外の軋轢や対立という問題も含めているのに、よどみのない分かりやすい演出があり、その中にさらに人間ドラマも加えることの出来る天才脚本家の存在。それを裏付けるようにシナリオのテンポがすごくよく、レースの様子をテレビの前で観戦しているマイルズの妻子やレーススタジアムにいる観客がGT-40を応援している姿から見ている者も感情移入がしやすい。...ただし、シェルビーがフェラーリのブースにちょっかいを出すところは...(笑?)レースの結果は映画とクリソツで、実際のレース展開は、真逆ですので悪しからず。
重箱の隅をつつく者として、この映画では、GT-40 MarkⅡをいかにもシェルビーとマイルズと少人数のスタッフが作った手作り感や達成感あふれる演出にしたかったのは、わかる気もするけれどもそれは、過剰演出という意見もある。何故なら、この監督自ら、それを裏付ける映像を流している。競技中のMarkⅡのピットインのワンシーンで炎上しているブレーキシステムを総取り換えをフェラーリチームから’競技違反’と強く抗議されている場面。走行中フロントブレーキが摂氏800℃を超えて焼き切れてしまう対策として、クイックチェンジブレーキシステムを考案したり、エンジンの耐久性を図るためのプログラムによるダイナモシュミレーターシステムも開発している。1965年に就任して1年ですべてのことは無理がある。…実際のところ多くのフォード技術者の長年培ってきた賜物となる結晶がGT-40 MarkⅡが生まれたと記載されている記事を目にする。嫌味でした。それなら書くなってか?このことは、日本でも確か’80年代に出版されていたPopular Mechanicsの今年の11月の社説にそのことについて詳しく述べられている。
映画上で、二人の水と油と言えばいいのか、180度異なる経営方針の2社が車に対する考え方や真摯な物作りの姿勢の違いを見せたかったのかもしれないけれど、レース会場にエンツォ・フェラーリは行っていませんから、念のため。また嫌味か?自分でも最初は、フォード社のPV映画と思っていたが.....そうでもなさそうな描き方をされている。いい大人がそんなことを言わないで映画を単純に楽しみさいと言われそうだが........
悪態ばかりではなく、オープニング・クレジットの名前の登場順からすると大方の人は、マット・デイモンが主演とされるかもしれないが、この映画の肝となる役者さんは、はっきり言ってクリスチャン・ベール。今回も実在の人物に風貌を似せるあまりポスター写真からでも直ぐわかるような減量をかなりしている。あまり追い込むと完璧主義者が陥りやすい、自分の考えが正しいと信じ込み、周りのスタッフに対して反動が起こるのではないかとふと心配になったが、今回は、ヤンキー語(失礼?)ではなくて、イギリス出身の彼が、イギリス人役なので、力が抜けたようにのびのびと演技ができているように見えたのでひと安心。その点を踏まえて、多くの批評家が、彼の演技に惚れ込み、好感度を上げている。終いには、またオスカーを手にするとまで言われている。
ヘンリー・フォードⅡは第二次大戦中、敵である日本に対して思いがあるのはわかる。しかし、1970年中期、マッスルカーが衰退するとともに日本車の様な軽量低燃費車の時代が到来しようとしたときの言葉…!?
Henry Ford II stated:
"No car with my name on the hood is going to have
a ’Jap’ engine inside."
と今だったら、”問題あり” 即、レッドカードとなりそうな発言がまかり通る激動の時代を描いた娯楽作品です。知らんけど。
この映画のベースとなるのが1966年公開のドキュメンタリー「This Time Tomorrow (1966)」で監督はフィリップ・ボンド。制作会社はFord Film Unit とPhilip Bond and Partnersという過去に数本映画を世に送り出している会社が制作している。ピットインの時にジャッキアップする道具が電動でも油圧でもない人力で車体の前部を持ち上げている場面が、この映画にも登場し、印象に残っている。イギリスの映画情報サイトThe BFI より参考。
映画製作が原因で中皮腫にかかり、自身の制作会社Solar Productionsを手放す原因となった映画を作ったレイサー。冒頭に登場した彼であり有名な台詞を残した彼。また "The King of Cool" と呼ばれた男。その彼がレース後、手の甲を向けて”Two-finger salute” 。その意味がわかる大人となれたのか?意味不明か?
この映画以外、レース映画でないという”変人”がいる。
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