「絶対王者に挑む男達の愚直な闘い」フォードvsフェラーリ みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
絶対王者に挑む男達の愚直な闘い
いやー面白かった。冒頭から心を鷲掴みにされ、緊張感が途絶えることなく、最後まで画面に吸い込まれてしまった。本作は、クルマ創りに賭ける男達の愚直な情熱に圧倒される傑作である。
1960年代当時、カーレースは、フェラーリの強さが際立っていた。フォードは、そんな状況を打開するため、ル・マン24時間耐久レース優勝経験があるエンジニアのキャロル・シェルビー(マッド・デイモン)に、ル・マン優勝を命じる。彼は、個性的な凄腕ドライバーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)を抜擢する。この二人の主人公がル・マン優勝を目指して想像を絶する試練に立向っていく・・・。
絶対王者である強者フェラーリに立向っていく挑戦者フォードという設定は、アメリカ映画が最も得意としている動的な設定である。加えて、本作は、フォード上層部と主人公達との内なる静的な心理戦にもフォーカスしている。この動と静の試練に主人公達が挑んでいく姿を描いているので、ストーリーに起伏があり、150分超という上映時間があった言う間に過ぎていく。主人公達は、時に衝突しながらも、ル・マン優勝を目指して、がむしゃらに挑んでいく。フォード上層部との確執も乗り越えて、フェラーリに迫っていく。
本作のクライマックスであるカーレースシーンはスピード感満点の迫力であり、心地良い爽快感がある。マイルズは生き物であるかのようにクルマに囁き続け、クルマと一体となってレースを展開していく。クルマに対する愛着心がクルマの痛み(異常)を見逃さない。演技巧者のクリスチャン・ベイルの、運転中の表情から、挑むことの凄まじい気迫を伝わってくる。
極めて現実的なラストシーンが本作のメッセージである。現実は厳しい。それでもなお、良いクルマ創りに挑んでいく。ゴールはない。しかし、挑み続ければ、ゴールに限りなく近づくことはできる。それがクルマ創り=モノ創りの原点であると、私は信じている。
コメントそして共感ありがとうございます。
大好きな作品です。
今回久しぶりに観て、同じように感動して胸が熱くなりました。
身に余るお言葉ありがとうございます。
「グランツーリスモ」
ゲームプレイヤーが本物のカーレーサーに挑む、
しかも実話がベースなのですか?
とても評価が高いのは知っていましたが、対局にある
感動作なのですね。
配信が楽しみです。
周回遅れのレビュアーですが、宜しくお願いします。