「主義主張の対立」フォードvsフェラーリ うむぼんずさんの映画レビュー(感想・評価)
主義主張の対立
長時間の尺だったが全く飽きることなく疾走感持って最後まで一気に駆け抜けた。
フォード社の副社長に目が行きがちだが、2世はやはり2世という言葉は的を射ている。映画内で2世が自分で何かを決めたことは少ない。
車やレースに対しての価値観が登場人物全員で違っていて、イデオロギーの対立のような構図。
フォード2世:名誉、自尊心、金儲け
副社長:商品
エンツォ:自己実現、探究心、誇り
シェルビー:自身の一部、仲間
ケン:自己実現、探究→チーム
モリー:夫が大切にしているもの、理解したい
ピーター:憧れ、恐れ
価値観が違うからフォード2世はレースの途中でも退席するが、エンツォ・フェラーリは負けた相手に礼儀を取れる。
ケン・マイルズは自分(の勝利、記録)にこだわっていたが、最後にはチームプレイに走り、次の車のことを考えていける。
どちらの価値観が良い悪いということはないし、観ている立場によって感じ方も変わってきそう。
よくある、レースに命を懸ける…とか命知らずな…的な部分は控えめ。それが彼らのライフワークだから、理由なんて特にないし大切な価値観に基づいているのかな。
観賞後調べたら実話とのことで、他のレビューにもあったがこれだけドラマ性に富んでいるのに今まで映画化されなかったことが不思議。
そして今の時代(2019年)に、イデオロギーの対立というテーマで実写化されたことにも意味はあそう。
60〜70年代のマスタングはめちゃくちゃ欲しい。あの無骨な感じが好きだなぁ。
あとはクリスチャン・ベイルのチンピラ的な演技がすごい。歩き方や表情など、チンピラ感が滲み出ている。
2年後くらいにまた観て自分を奮い立たせたい。