「見ようによっては恋愛コメディ映画!(褒めてます)」フォードvsフェラーリ 逆さクラゲの飼育員さんの映画レビュー(感想・評価)
見ようによっては恋愛コメディ映画!(褒めてます)
フォードvsフェラーリ、鑑賞してきました。
車の知識がまったくないので、楽しめるかどうか少し不安でしたが、
問題なく楽しむことができました。
レースシーンは、皆さん大絶賛されている通り圧巻の出来で、
これをCGを使わずに本当に実物を使ってやっていると思うと驚きです。
映像の素晴らしさに関しては、他でいろいろ語られると思うので、
私が良かったと思う見どころを少し語ると…
見る前は、マッド・デイモンとクリスチャン・ベイルの熱い友情の話かと思っていたのですが、
いざ、映画を見てみると、
実は熱い友情というより、なんと「恋愛コメディ映画」でした!(語弊がアリ)
プレイボーイで女性の扱いに長けている王子様「シェルビー」が
パパがお金持ちのわがままお嬢様「フォード社長」と、
天真爛漫で天然系女子の「マイルズ」という二人の性格の違う女の子に惹かれ、
シェルビーが持ち前の恋愛テクニックを駆使して、どう二人を口説き落としていくかを中心にお話が展開されていきます。
デートの約束を二人としてしまい、仕方なくマイルズとの約束をブッチして顔面ビンタされてからの修羅場があったかと思えば、
お嬢様育ちで外の世界を知らないフォード社長をドライブデートに誘って「こんな世界があったなんて♥」と心を鷲掴みにしたり、
お嬢様ばかりに気を使いすぎて、ご機嫌斜めのマイルズに「女性は、プレゼントとサプライズが大事」とばかりに
物で心を惹きつける恋愛マスターのシェルビー。
「私、アクション系がダメなんです」「車にはあんまり興味ないんです」っていう人でも
マッド・デイモン扮するシェルビーの恋愛テクニックを見ているだけでも凄く楽しめる映画です。
あと、個人的に一番好きだったのは「フォード社長」です。
上で恋愛コメディ映画だと少し茶化した言い方をしましたが、主演二人に見劣りしないくらい
めちゃくちゃカッコイイ役になってます。
今までの映画だと、主人公の物語上の乗り越えるべき障害として社長が設定されていると、
障害としての機能しか与えられない事が非常に多かったのですが、
今作のフォード社長は、個人の考えや葛藤がちゃんと描かれて、
最初は堅物のただ激怒するだけの社長なのかなと思って見ていたら、
時には泣いたり、2世としての葛藤が描かれていたり、非常に人間的なキャラクターとして魅力的に描かれていました。
中盤のとある逆境からの決断は、個人的に心が震えました。
主人公であるシェルビーがいろんな決断を迫られて、そこが映画的には見せ場になっているので、
忘れられガチですが、それと同じくらい企業のトップとしての葛藤や二世としての葛藤、
企業イメージからの脱却に奮闘する様など、フォード社長の「カッコよさ」が光る映画だと個人的には思いました。