「キャロル&ケンvsフォード?」フォードvsフェラーリ Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
キャロル&ケンvsフォード?
"株も土地も、いくらでも売ってしまえばいい。しかし名前だけは売ってはいけない"
by エンツォ・フェラーリ
IMAXレーザーで鑑賞
割とモータースポーツファンですので
楽しみにしていた作品です
感想は
レースシーンのビジュアル
当時の空気感の再現度
ダブル主役の熟練した演技
どれも素晴らしかったです
…でも物足りない部分もありました
モータースポーツの中でもルマン24時間は
メーカーが威信を賭けて激突する世界三大レースの一つで
昨年一昨年と連覇を遂げたトヨタも
現在に至るまで莫大な予算を投じていたし
初挑戦から30年以上経てやっと迎えた栄光でした
大メーカーのプロジェクトですから結果が出なければ
撤退もありますし現場は重役から無茶な要求もあります
それくらい現場はほとんど丸投げ状態で戦っています
史実を元にしていますので連覇中のフェラーリに勝つために
キャロル・シェルビーやケン・マイルズだけではない様々な
エンジニアの努力をもっと描いて欲しかった気がします
フォードのルマン制覇の要因は信頼性の高さでした
実際そこに力が注がれていたわけです
フォードが開発したGT40は驚くほど短期間で仕上げられましたが
英国のエリック・ブロードレイというエンジニアがローラ社で
開発したローラMK6というマシンがベースになっており
ルマン向けに耐久性を高めていく開発をマイルズらと
進めていった結果作中の勝利から連覇を遂げていったのです
ぶっちゃけフォードvsフェラーリと題打つなら
主役はGT40だと思います
そのへんの掘り下げがほとんどなく
なんとなくクルマが仕上がっていったかのように
描写されていたのはやや残念でした
結局現場と親会社の意見の対立などが目立ってしまい
親会社の重役のような視点で話が展開していってる
印象を受けました
レースやクルマ等に詳しくない観客には
そのほうがいいのでしょうけれど
実際数字で高評価なようですし
レース界のエンジニアの方が観ても
共感できるテーマなのはあったと思います
かなりニッチなテーマを取り上げ
一般の人が興味を持つきっかけになったとしたら
モタスポファンとしても嬉しいところ
IMAXレーザーの精細な映像とOHV8のパワフルな
音響はベストマッチでした
ぜひそれで味わって欲しい一作です
追記:
パンフレットによると制作段階ではエンジニアや開発面に
注力したシナリオのパターンも候補にあったようです