「モータースポーツに興味が有ろうが無かろうが、そんなこと関係無し!清々しいまでの漢の世界に心が燃える燃える!」フォードvsフェラーリ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
モータースポーツに興味が有ろうが無かろうが、そんなこと関係無し!清々しいまでの漢の世界に心が燃える燃える!
モータースポーツ界の絶対王者フェラーリに挑むフォード・モーターの姿を迫力満点の映像で描く、史実を基にしたレーシング映画。
監督/製作は『ナイト&デイ』『ウルヴァリン』シリーズのジェームズ・マンゴールド。
元レーサーのカーデザイナー、キャロル・シェルビーを演じるのは『オーシャンズ』シリーズや『インターステラー』の、名優マット・デイモン。
崖っぷちのレーサー、ケン・マイルズを演じるのは『ダークナイト』トリロジーや『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の、オスカー俳優クリスチャン・ベイル。
ケンの息子、ピーターを演じるのは『ワンダー 君は太陽』や『クワイエット・プレイス』のノア・ジュプ。
フォード・モーターの副社長、リー・アイアコッカを演じるのは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『ベイビー・ドライバー』のジョン・バーンサル。
第92回 アカデミー賞において、編集賞と音響編集賞を受賞❗️
第73回 英国アカデミー賞において、編集賞を受賞!
名優マット・デイモンとクリスチャン・ベイルのW主演!
私はモータースポーツに興味が無い全くの素人ですが、そんな人間でも十分に楽しめました。
とはいえ、多少は時代背景や専門用語は知っておいた方が良いかもしれません。
1960年代初頭のフォードやフェラーリがどういった状況だったのか映画を観ていればなんとなくはわかりますが、ちょっとわかりづらいところもあるかなぁと思います。
専門用語やレースのルールなど、分からなくても問題はないですが、やはり多少は知識があった方が、より映画を理解できるのだろうな🤔
この映画のタイトルは『フォードvsフェラーリ』ですが、あまりタイトルが適切では無い様な…。
確かにフォードがフェラーリに対抗意識を燃やしたところが物語の起点ですし、実際にルマンで闘うわけですが、フェラーリとの勝負にはあまりリソースを割いていないと感じました。
フェラーリのレーサーにライバル的な人物を登場させて、ルマンで熱いバトルを繰り広げるというような、少年漫画的な展開にもすることが出来たと思うのですが、あえてその様な作りにはしていないのでしょう。
『フォードvsフェラーリ』というわかりやすくキャッチーなタイトルはあくまで集客のために過ぎず、主題は別のところにあると思います。
この映画での戦いとは、「どれだけ己の信念を貫けるのか」ということです。他者との戦いは副次的なものに過ぎません。
マット・デイモン扮するシェルビーは、かつてはルマンを制した天才ドライバーだったが、心臓の病から引退を余儀なくされ、今は自らの会社を立ち上げカー・デザインとセールスを行なっている。
クリスチャン・ベイル扮するマイルズは、天才的なテクニックと知識を持っているが、人間性に難があるためスポンサーも得られず苦しい生活を送るレーサー。
燻っていた2人が打倒フェラーリというミッションの下に手を組み、反目しながらも絆を深め、やがてルマン24時間耐久レースに挑むという展開に燃えないわけがないっ!
はじめは会社に従っていたシェルビーだが、マイルズと共にレーシングカー開発を行っていくうちに自らの信念を貫くために組織と戦う覚悟を決める。
協調性の無かったマイルズは、シェルビーをはじめとするクルーと協力してレースを戦い抜いていくうちに、勝敗を超えた何かを見出す。
会社からの圧力に苦しみながらも、苦難を乗り越えて成長していく主人公たちの姿には、『ロッキー』を思い起こさせる様な反骨精神とバイタリティがあり、自分自身の心に火をつけてくれます!
特に良かったのは、デイトナ24時間耐レース!
自身の会社を賭けてマイルズをルマンのレーサーに推薦したシェルビーの漢気と、息を呑むようなレース展開に圧倒!
あまりの熱さに何故か涙が…🥲
もう一つのこの映画の見所は家族の絆でしょう。
夫のレーサーという仕事に理解を示し支え続ける妻と、それに応えようとする夫の夫婦愛の美しさ。
父と息子の心温まる交流には涙…。
息子役のノア・ジュプくん、凄く良かったです。
ただ、肝心のルマン24時間耐久レースが少し盛り上がりに欠けた気もします。
シェルビーの汚い工作には笑いましたが^_^
もう少しフェラーリとの対決をしっかり描いても良かったのでは?
えっ、フェラーリこれで終わり?って思ってしまいました。
あと、クライマックスがあまり好きでは無いですねー。
最後の展開は蛇足に感じてしまいました。
ルマンでのレースをエンディングにして、マイルズのその後はエンドロールで説明するとかの方が良いのでは?
とはいえ、全体的には非常に楽しめました!
劇中の音楽もクールだし、エンジン音などは迫力抜群!何より映像が凄え!!
役者の演技といい、怒涛の展開といい、主人公の葛藤と成長といい、全てが満足に足る出来の素晴らしいエンターテインメント作品です。
劇場で観なくてはいけない一本!