「こってりしたSF考証のハードな画面」アド・アストラ かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
こってりしたSF考証のハードな画面
主演ブラッド・ピット。
【ストーリー】
優秀な宇宙飛行士のロイは、衛星軌道近くのアンテナ作業中、原因不明のサージ事故に遭う。
感電爆発を避けて大気圏に突入するも、冷静に対処して無事に地上にたどり着く。
仕事がなくなり、オフを孤独にすこすロイ。
父親のクリフォードは宇宙開発時代で英雄になった宇宙飛行士だったが、幼少期に海王星への探査ミッション・リマの船長として旅立ち、そのまま行方がわからなくなった。
緊急でアメリカ宇宙軍に呼び出されたロイは、父からの肉声メッセージが届いたと知る。
そして地球で大きな被害を出した大規模なサージ事故が、リマの反物質発電機によるものである、と。
「君には火星に行って、レーザー通信でクリフォードに呼びかけてもらいたい」
軍高官の命により、ロイは月経由で火星に飛ぶ。
まず目につくのは、雄大な背景美術とSF描写の的確さ。
高高度まであるアンテナ、月面車両の挙動や空中に投げ出された時の無音、そして反射光のない夜側の闇。
最新の観測や研究を反映させた火星や冥王星の姿も、SF好きにはたまりません。
全盛期のブラピを覚えている人には、地味すぎるストーリーとキャラクターですが、考えたらこの人もこの時55歳。初老です。
父親役のトミー・リー・ジョーンズも好演してますが、父親の友人役で、先日(6月24日)亡くなられたドナルド・サザーランドも、また存在感たっぷりです。
しかし見る度に思いますが、キーファー・サザーランドってお父さんの生き写しだなあ。
クライマックスにも大きなドンデン返しがないようなヒューマンストーリーですが、登場人物は克明に作りこまれていて、大人の鑑賞に堪えうる内容になってますよ。
レヴェナントのコメントありがとうございます。
特徴ある山なので「おやっ」と思いました。
最初はアメリカ得意の嘘歴史かなと思ったのですが、圧倒的な大自然と最高のカメラワークについ見入ってしまいました。
まさかまさかの最後のカメラ目線に驚きました。
ワールドウォーZのコメントありがとうございます。
頻繁にではないですが、何回見ても楽しめる作品です。
レビューには書きませんでしたが、実はこれに匹敵する作品があります。
主人公がアーノルド・シュワルツェネッガーの「マギー」という映画です。
ゾンビ映画はゾンビになって追いかけてくる恐ろしさばかりが注目されますが、マギーでは自分の大切な人が数週間かけてゾンビになってしまうさまを描いています。
この恐ろしいものへの変化
もはや人間ではなくなってしまったモノ
感染者をかくまうと罰則になる社会
主人公も自警しながら周囲と連携を保っていますが、親友がそれをしたのです。
その親友は2次感染し、それをやむなく処分します。
しかし今度は…
この当時は関心がなかった親友の気持ちを、主人公が知ったとき…
機会があったら見てください。
ハプニングのコメントありがとうございます。
私も自分のレビューを読み返してようやく思い出せました。
この作品の比較はスティーブンキング監督の「ミスト」でしょうか。
ミストのオチは「一度やってみたかった」程度に感じました。
でもそこまでの内容は結構面白かったですし、記憶にも残っています。
しかしハプニングは、それさえもすぐに忘れてしまうものでしたね。
アシュラのコメントありがとうございます。
私も以前に見たなあと思っていたのですが、コミックだったんですね。
この描き方はどこか手塚治虫さんの火の鳥にも似ているように思いました。
性というのが運命というのか…
彼にとって是が非でも救いたかった人…
そのたった一人さえも救えなかったことが、彼を仏門へと導く物語は、確かに異常なほど強烈ですね。
それを少年漫画でやってしまう凄さ。
ここらあたりが尋常ではない日本の漫画文化の中心地なのかもしれないと思いました。