「駄作以上、凡作未満」アド・アストラ 山本さんの映画レビュー(感想・評価)
駄作以上、凡作未満
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壮大な舞台、映像の割に話運びは内面的で、取ってつけたようなアクションシーンも作品に魅力を付加する要素として、有効に機能していない。
かといって、登場人物の心情の描写やストーリーのテーマ性のみに特化しているわけでもなく、読解しようとすると底の浅さが透けて見えてきてしまう。
例を挙げるなら、16年間結果の出ない探査を続け部下を殺害した父親。英雄の父親に捨てられ、人間嫌いとなった主人公。監視役の父親の元同僚や、父親に家族を殺害された女性。キャラクターそれぞれに魅力的な設定が揃っているにも関わらず、彼らの出番はそれぞれ雑に処理され、バックグラウンドに対する説得力、キャラクターとしての深みが用意されておらず話は凡庸な結論で終わっている。
目立った欠点は無いのだが、ハイカルチャーとしての要素とポピュリズム、どちらも両立しようとして足を引っ張り合いどこを見ても中途半端な作品となってしまった。
個人的には不必要なアクションシーンを削り、地味で暗くても話とキャラ造形に深みを用意してくれれば好ましいSF作品となったのではないかと思う、惜しい。
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