「俳優と映像を生かせない脚本が残念…」アド・アストラ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
俳優と映像を生かせない脚本が残念…
レビューの星評価が低くて躊躇していましたが、公開を楽しみにしていた作品なので、期待値を下げて鑑賞してきました。そのおかげで、そこそこ楽しめました。元来SFものは好きなので、近未来を舞台に宇宙を描いているだけでそそるものがあります。本作でも、宇宙や船内シーンはもちろん、近未来ガジェット、月面基地、火星基地なども登場し、リアルな映像を見ているだけでワクワクしました。
主演のブラッド・ピットはあいかわらずかっこよく、どんな時でも自分を見失わない冷静な人間であることに努め、それ故の苦悩に苛まれるロイ役をしっかり演じきっていました。共演のトミー・リー・ジョーンズも、登場シーンは少ないものの、重要な役どころで存在感を放っていたと思います。
しかし、これだけの映像美と俳優をもってしても、ストーリーのおもしろさが映像から伝わってきませんでした。サージから地球を守るというメインストーリーの裏で、父子の再会と対峙、それに伴うロイの変容を描こうとしているのでしょうが、これがどうにも中途半端でした。この親子の空白の時間や当時の思いをもう少し掘り下げて見せてくれたら、あるいは感動的な展開になったかもしれません。
逆に、月面カーチェイス、道中の他国船の救助、ケフェウス号内での戦闘など、アクセントにはなりますが、進行上必要なシーンでも伏線でもないシーンが描かれていたのは疑問です。それとも、自分が読み取れないだけで、もっと深読みが必要な大切なシーンだったのでしょうか。
いずれにせよ、脚本がもう少し練り上げられていれば、もっとおもしろい作品になったのではないかと思うと、残念でなりません。
余談ですが、同じアストラなら、最近最終回を迎えたアニメ「彼方のアストラ」の方がずっとおもしろかったです。こっちを実写映画化してほしいです。
こちらのレビュー読んで気になってた彼方のアストラ見ました 謎解きもあって面白かったです こちらは監督がベタなお話にしたくなかったからこうなったんだと思いました