「よりそう気持ちが世界を救う」バースデー・ワンダーランド ばるさみこさんの映画レビュー(感想・評価)
よりそう気持ちが世界を救う
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原恵一監督の最高傑作! というわけではないけどかなりの良作です。
お揃いのヘアピンをつけなかったことで(理由が大したことではないからこそ残酷)いじめのスケープゴートにされてしまうアカネの友人。狭い世界での仲間意識を持つための存在です。
アカネはかばったら自分もいじめにあう可能性があるので無視し、後悔の念にかられます。
旅することになったファンタジーの世界でもスケープゴート(生贄)がいます。
王子は壊れかけた世界を正常化するには命をかけた儀式を行わなければなりません。
王子が儀式を行うことは周りからしたら当然。
自分たちの生活がかかっているから、人形にしてまで逃げられないようにする。
残酷だけど仕方のないこととして、誰も自分の気持ちを慮ってくれない。これほどの孤独はないでしょう。
そこに外の世界から自分の気持ちによりそってくれる人が現れた。
超自然的な特別な力によってではなく、「一人ではなく、一緒に前に進もう」という思いで王子もアカネも救われます。
人によっては甘く感じるかもしれませんが、これぞ児童小説!と好感が持てました。
数字や並んだ新旧のタペストリーで母親の正体を分からせる仕掛けは「粋だな」と感嘆。
アカネの気持ちにはいつでも母親がよりそってくれます。
最後ソファーにて親子で語るシーンを見て、とても美しい映画だと感じました。
大人も楽しめると思いますが、小学校高学年から中学校くらいの年代にぜひ見てほしい作品です。
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