「ビジュアルはいい」バースデー・ワンダーランド サブレさんの映画レビュー(感想・評価)
ビジュアルはいい
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よくあるタイプの、ティーンエイジャーが不思議の国からの使者に呼ばれて国の危機を救う話。
こういうのはブレイブストーリーよろしく、その人が呼ばれたことに意味のある話でなければならないと思うが…どうもそうはなっていない。というのは、なぜ危機を解決できたのかよくわからなかったからだ。
本映画の舞台は色が失われていく国。色の喪失を止めるためには、水を操る王子がとある儀式を成功させなければならない。アカネは王子を励まして世界を救うために、錬金術師に呼ばれて国へ赴く。
無理矢理呼ばれて嫌々付いていくアカネが、旅の道中でいろいろ学び、その学びが王子を感化させる…というのが王道の運びだと思う。実際にそうだった。
しかし、説得力に欠ける。アカネが何を感じ、何を学んだのか全く提示されないからだ。
ただひたすら美しい情景描写が続き、いつの間にか王子と対面し、なんやかんやで王子は心を動かす。
情景描写はとても美しい。一面の花畑や巨大な鯉や金魚は一見の価値アリ。しかし単なる情景描写に過ぎず、それらが主人公アカネの心を揺り動かしたようには見えなかった。
特に王子を説得するシーンで、物語冒頭にもらったアイテム"前のめりの錨"のおかげで前向きになれたと説くのだが、そんな描写があった覚えはない。
つまり、いい画にいいマクガフィンもあったのに活かしきれていない。ゆえにクライマックスでカタルシスを覚えない。何とももったいない。
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