「変わらないドン・キホーテもカワル」テリー・ギリアムのドン・キホーテ 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
変わらないドン・キホーテもカワル
CM監督のトビーはスペインの田舎で撮影中、以前自身が撮った「ドン・キホーテを殺した男」という学生映画のロケ地の街が近いことを知り、バイクを走らせる。
しかし街は変わっており、ヒロインを演じた少女アンジェリカは女優を目指して街を飛び出し、ドン・キホーテを演じた靴職人のハビエルは自身をドン・キホーテと信じ込んでいた。
ハビエルはトビーを従者のサンチョだと思い込み、トビーを連れて姫を探す旅へと出かけるが…
誰もが一度は耳にしたことのあるセルバンテスの名作「ドン・キホーテ」を、テリー・ギリアム監督が自分なりに焼き直し。
構想15年、第1次クランクインから18年という難航ぶりから「映画史上最も呪われた映画」の異名を持つ本作。
監督の作品は2本目ですが、やっぱりわけわからんけど面白い。
映画の中の映画、ドン・キホーテの中のドン・キホーテという入れ子構造。
何処からが夢で何処からが現実か?
これは愛なのか?凶気なのか?
この映画は「わけがわからない」でいいんだと思う。
監督がドン・キホーテに自身を投影して、夢の継承や自身の反省、大切な人の形を描いていく。
複雑なようで、伝えたいことの描き方は至ってシンプル。
きっとそれが受け入れやすくも解釈しづらい面白さになっているんだと思う。
ドン・キホーテを知らなくても十分楽しめるモノとなっているが、予備知識をつけてから観ればより楽しめると思う。
実際、風車を巨人と思い突撃するシーンはあるらしいし、原作では騎士道物語の読み過ぎで現実と物語の境目がわからなくなるが、今作は騎士道物語をドン・キホーテ映画に置き換えている。
自分も小説を読んでから再鑑賞してみたいと思う。