「ミイラになったミイラ取りの話」テリー・ギリアムのドン・キホーテ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
ミイラになったミイラ取りの話
「従者(Squire)」を「業者」と間違い続けますが、原語は"Squirrel"で「リス」の意。米英語の俗語で「変人」。これは和訳が難しいっすね。
さてさて。ジョニデが主役を務める計画もあったドン・キホーテ。「19年間の間に9回映画化に挑戦してその都度失敗した」と言う、この映画。「映画史に刻まれる呪われた企画」だそうです。なんとなく、分かる。企画の初期では、トビーは21世紀から中世にタイムスリップする構想だったらしく。そういう安易な方向に逃げる設定より、この映画の方が面白いと思う。
いずれにせよ、テリー・ギリアムは大御所です。主役は今をときめくアダム・ドライバー。キャストは地味に豪華。実力派のベテラン男優人もさることながら、ロッシ・デ・パルマがチョイ役で出て来るところとか拍手したくなります。
ひょんな事から、ちょっとづつ階段を踏み外して転落していくトビーは、狂人と化したハビエルと再会。彼は、自らをドン・キホーテと思い込んでいる様子(最後、彼は全てを承知の上で演じていたことが明らかになります)。そこから始まる二人の珍道中。結構楽しかった。お城に入る前後から、理性が邪魔して、置いてけぼりになったけどw
まぁ、緩く色んなものをぶッ込んだ、こんな冥作に19年の歳月を掛け、五カ国から資金を集め、世界中の劇場で公開した変人ぶりに敬意を表したいと思います。マジで、ミイラ取りがミイラになるまでの白昼夢、みたいな現実離れしたコメディ。主人と従者の新たな関係。この最後のセリフが、妙にエロくてw トビー、何考えてんの?
で、思うんですよ。これ、北米では酷評らしいけど。アメリカで酷評される映画は一見の価値あり。これが俺的な21世紀の定義ですw
愉しかった。ソコソコ。