「ラ・マンチャで迷子」テリー・ギリアムのドン・キホーテ 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
ラ・マンチャで迷子
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変てこな映画を作ることでは人語に落ちない監督だし、苦節ン十年の末完成した作品ということなので大期待していたのだが、何か終始だらだらしていてこれはという印象に残るシーンもない映画だった。
そもそもセルバンテスの「ドン・キホーテ」自体がひと昔前の騎士道物語に魅入られた主人公が自らドン・キホーテだと妄想するお話なので、その映画化作品の役者がドン・キホーテと思い込むとなると、屋上屋を重ねるだけになってしまう。メタメタフィクションというか。
テリー・ギリアムが長年熱望していた映画の完成形が本当にこれだったのだろうか。撮れないまま過ぎ去った歳月の間に、何かが失われてしまったのだろうか。おそらくこの企画はギリアムにとって、スタンリー・キューブリックの「ナポレオン」、小林正樹の「敦煌」のようなものだったのだろう。“見果てぬ夢”のままにしておいた方が美しかったのかもしれない。
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