THE UPSIDE 最強のふたり : 特集
フランス版も最強だけど、ハリウッド版もまた最強!
感動の“あの名作”がリメイク! ついに日本でも劇場公開
見れば心がゆるゆるとほぐれ、明日がもっと好きになる注目の良作
2013年に日本公開され、大ヒットを飛ばしたフランス映画「最強のふたり」。黒人青年と障害を抱えた大富豪による“まさかの友情”は、日本中の観客を幸福感の膜で包みこんだ。そんな名作が花の都・パリを離れ、映画の都・ハリウッドで新たに生まれ変わった。タイトルは「THE UPSIDE 最強のふたり」(12月20日から劇場公開)。原点をリスペクトし、どこまでも誠実に紡がれた注目の良作を、心ゆくまでご堪能あれ。
スラムの黒人青年×全身まひの白人大富豪が織りなす“奇跡の友情”
大ヒットを記録した「最強のふたり」が、日本を再び感動の渦で包む
スラム街出身で学も職もなく、妻子にも見放されたデル。病で最愛の妻を失い、自身も事故によって全身まひとなった大富豪フィリップ……。本作を見ると、オリジナル版を初鑑賞したときのあの“最強の感動”が、瞳を通り鼻から吹き抜けていく。心がゆるゆるとほぐれ、明日がもっと好きになる。そんな作品の見どころを、紹介していこう。
・貧困層の黒人青年×ハンディキャップの白人大富豪 実話から生まれた感動の物語
職業安定所で紹介される仕事を鼻で笑っては無為に過ごし、また社会から脱落しかけていたデル。ある日、ひょんなことからフィリップの“生活援助者”の採用面接に紛れ込んでしまう。
そこは大富豪の大邸宅。自分とは住む世界が違ううえに、仕事への興味を1ミリも感じなかったデルは、ヤケクソ気味に「俺を不採用にしろ」と吐き捨てる。しかし以前から「蘇生措置は時間の無駄」と人生に絶望していたフィリップは、「君を雇おう」と、やぶれかぶれとも漢気ともとれる表情で採用を決める。
食事、移動、入浴、排せつ……デルはフィリップの生命を維持するどころか、事あるごとに死にかけさせてしまう(まるで狙い澄ましたかのように)。当然、秘書のイヴォンヌは「アウトの行動を3回したらクビ」と般若の形相。ところがフィリップ自身は、大雑把がゆえに差別もしないデルとの生活を、意外にも楽しんでいた。
時に冗談を言って笑い、時に罵詈雑言を浴びせ合い、時にハッパを吸ってホットドッグをほお張り、時にオペラ観劇中にヤジを飛ばして周囲から白眼視される……。出会うはずのなかったふたりによる、実話であることが信じられないほど奇跡的な物語が、スクリーンで躍る。
・ハリウッドで忠実&真摯にリメイク! キャスト&街並みがまばゆく輝く
主演はコメディアンとしてデビューを飾り、近年は「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」などで存在感を示したケビン・ハート。いい加減で息子にも平気で嘘をつくデルが、次第に変化していく過程を、チャーミングだがどこか切実なトーンで演じきった。
さらにドラマ「ブレイキング・バッド」シリーズのブライアン・クランストンが、フィリップ役で同じく主演。同シリーズでは、がん宣告を受け麻薬密造に手を染める高校教師を熱演したが、今回もそれに通ずる難役だ。動かない肉体に精神を閉じ込められ、暗く冷たい諦観から逃れられずにのたうつ大富豪の心情を、丹念に表現してみせた。
ほか、イヴォンヌ役のオスカー女優ニコール・キッドマンら、共演陣の好演も光る。舞台やキャラ設定に変更はあるが、リメイクはあくまでも忠実にして真摯な姿勢で一貫。鑑賞中、オリジナル版とまったく同じ温かい気持ちが、胸いっぱいに広がっていく。
・あの名シーンが、新たにスクリーンによみがえる――
例えば、オリジナル版ではファンクの名曲「ブギー・ワンダーランド」が盛り上げたダンスシーン――。果たして数々の名場面は、今回、どんなかたちで映し出されるのか。オリジナル版も素晴らしかったが、ハリウッド版もまた格別。人生を上昇させる新たな“最強のふたり”を、じっくりと味わってもらいたい。
オリジナル版に感動し、コメントを寄稿していた著名人たちは、
本作をどう見て、何を感じたのか――
13年のオリジナル版公開時、数々の著名人が同作を絶賛するコメントを寄稿していた。彼らは、リメイク版をどう鑑賞し、そして何を感じ取ったのか。改めて、感想を語ってもらった。
人と人が、分かり合える事、それがどれだけ奇跡的な、素晴らしい事か、どれだけ簡単で、どれだけ難しいか! パラグライダーが空に創る笑顔が心に残る。
――小堺一機
アメリカ版か。そう見始めた。が、来たー! イヴォンヌとデルのダンスシーン、彼は小ちゃい! ここよ、これがこの映画の素晴らしいとこ。彼は愛する家族のためただただ稼ぎたい。スラム街に住む小さな男に大きな生きる意味を見出した大富豪フィリップ。だから小ちゃいがデルは、最強なんよ。ナイスキャスティング!!
――綾戸智恵(小ちゃいジャズシンガー)
リメイクなんか見たくない! ……大好きな作品ほど。そんな思いが見事に覆されました。やはり映画は哲学と、そしてディーテイルですね。
――辰巳琢郎(俳優・日本のワインを愛する会会長)
飾らない、心からの言葉や行動に惹かれます。何もかもが真逆の二人……こんな風に出会って、お互いに強く思いあえる確率ってどれくらいあるのだろうかと思う。ほろっとして、手を叩いて、大笑い。なんて気持ちの良い映画なんだろう!!!!
――中村江里子(フリーアナウンサー)
こんな出会いの出来る 人生に 祝盃をあげたい!! 2人の出会いによって 2つの 人生が拓け そして 一つに成っていく 深く 暖かく 静かな 感動に包まれる!!
――片岡鶴太郎(俳優・画家)
人生は好きな道を見付けてそれを広げる事! と全身マヒの大富豪は言う。オレが父親に始めて会ったのは刑務所の中だったと介護人のコトバ。そしてステキな友情が空に舞う!
――林家木久扇(落語家)
育ってきた環境や今までのスキルも年齢も違うふたりにとってそんなことは関係ない。互いに欠けたピースを組み合わせれば無限の丸いピースがやって来る。スケールのデカいハリウッド版はサイコーに愉快だった。
――ダイアモンド☆ユカイ(ロックシンガー・俳優)
生きることはまるで感情のジェットコースター。笑ったり激怒したり深く傷ついたり。自分に見切りをつける生き方も潔いけど、友とならどんな急降下もきっと楽しめる!
――くさか里樹(まんが家/「新生ヘルプマン ケアママ!」週刊朝日連載)