「全ては最終シーンの為に」ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち はなもさんの映画レビュー(感想・評価)
全ては最終シーンの為に
ほんのわずかかな労力で大金を手にする事は誰にとっても魅力的だ。閃きと頭脳のアントン、口の達者なヴィンセント。それを可能にしてしまおうとする二人は従兄弟。頭脳のアントンをいいように利用しているだけに見えるヴィンセント。
けれど劇中で、ヴィンセントの父はロシアからの移住者だと明かされ、勝ち組になるべく、一発逆転の成功を目指している。だからこその光プロジェクト。二人は、観客の私が思っている以上に深い関係があるのだとも思えた。
か、しかし結局、主人公ヴィンセントの余命か少なくなって来たとき、自分にとっての心穏やかな幸せって何なんだ⁉️と、最終シーンは、スローで落ちて行く雨描写、それを眺めるヴィンセントとアントン、二人の背中越しの雨のシーンは、何故か美しい。雨粒は、いつものように同じなのに、見ている二人の心持ちが違っているように見せている。二人が惚けて座っている場所は、通信の速さなど俺たちには関係が無いと言う、アーミッシュの納屋なのだ。
このシーンを見せたいがため全ては伏線だったのかと思ってしまった。
最終シーンは、観客の自分も、回りの景色や、人々が愛おしくなってくる気持ちがわきだす。本当に大切なモノってなんだろう。何かを失おうとした時しか、わからないし、感じられないんだな、人って、愚かなんだなと。
足るを知るって、大切なのだと思わせてくれる映画だった。
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