「今日はネット遅いなぁ」ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
今日はネット遅いなぁ
主演のジェシー・アイゼンバーグ、どうしても「ソーシャルネットワーク」のザッカーバーグに被って見えてしまう。ソフトとハードの違いはあれど、本作もネットワークの構にすべてを掛けるところは似てる作品かと。そういえば、ウッディ・アレンの「カフェ・ソサエティ」も主演で、野心家の青年の役だった。夢を追いかける野心を持った役が定番ですね。
ストーリーは単純で、カンザスからニューヨークまで1600キロをまっすぐに掘り進む話。マイクロ秒を争う証券トレーダーの世界。速さが巨万の富につながるのだ。何万もの土地の所有者から必要な部分を譲り受け、地下3メートル幅30センチほどの穴をひたすらまっすぐ掘るだけなのだが、そこには数々の困難が待ち受ける。
アントンは、ヴィニーが投資家に軽く約束してしまったさらなる高速化に向け、ホテルに缶詰めになって、必死にプログラムを改修する。エヴァの妨害、予算の超過、土地の売却拒否など、次々と襲うトラブル。マイクロ秒にかける兄弟の野望はどうなるのか!?
「悪の華」「Joker」「蜜蜂と遠雷」と、重めの映画が続いていたので、ドタバタコメディの要素も少し期待していたのだが、あにはからんや、プロジェクトXばりの真面目な展開。工期も遅れ、投資家からはプレッシャーがかかり、エヴァの妨害も執拗に迫る。突っ張るヴィニーに暗雲が垂れ込める。重苦しいなぁ。
終盤、天才技術者だがオタク系で頼りない義兄が逆転劇を仕掛けるところで救われた。猪突猛進の義弟を、やさしく見守る兄の姿がそこにある。実話を元にしているとのことだということで、ドキュメンタリーっぽい色がついた、面白い作品です。