「美しい絵本のよう」第三夫人と髪飾り Kさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい絵本のよう
監督の感性が滲み出たものなのだろう。映像も登場人物たちもひたすらに美しい。ただ、断片的なシーンの積み重ねで進んでいく物語は、映画としてはやや物足りない。映画のダイナミズムがなく、美しい絵本のようである。
女性たちは一見したところ仲睦まじく幸せを享受しているようである。むやみに蔑まれ貶められるような場面は少なく、取り乱し方も物静かで、罵り合うようなこともない。でも一様に眼が鋭い。多くを語らず、我慢も決意も胸に秘める強さを感じる。
監督にも登場人物にも、抑圧に対して批判的な主張は感じられない。ただ事実を記録に残したい、できれば美しく描かれたい、という気持ちを感じる。そしてその通りになっていると思う。
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