「祖母の時代の美しいベトナムの生活と女たちの辛い人生」第三夫人と髪飾り たこ姫さんの映画レビュー(感想・評価)
祖母の時代の美しいベトナムの生活と女たちの辛い人生
クリックして本文を読む
監督は祖母の時代の美しいベトナムの生活と女たちにとっては生きづらい時代を画面に残したかったのだと思う。
終わり方が秀逸だった。
第一夫人の長男に嫁取りをしたが、長男は拒否し、やむなく家長の富豪と父親は破談を申し出る。しかし新妻側は恥をかかせるのかと戻るのを拒否する。新妻は行き場を失い首をくくらざるをえなかった。
それまで主人公のメイは少しずつ大人の女の生き方を学んできていたが、ここで一挙につらい女の人生も知ってしまった。親に人生を決められ、婚家で受け入れられなければ生きることも出来ない女の人生を。
メイは自分が生んだ女の子もそういう人生になるかもしれないと悲観的になり赤ん坊の口許に黄色い毒のある花を持っていって迷う。
しかし、最後のシーンで第二夫人の下の娘が自分で長い髪をジャキジャキと切り落とす。女の象徴の髪を。これは女が自分の意志を持つ時代の始まりを意味している。
映画全般はとても美しく、ある意味とても豊かな生活だったことも描きたかったのだと思う。
また、三人の夫人たちの位置は、旦那様に仕える子供を産む役割の女たちで、使用人としては最高の位置ぐらいの感覚だったのだろうか、だから三人は仲良く過ごせたのだろう。
ちょっと脱線。初夜の交わりに卵黄を使うというのは面白いアイデアかも。長男の初夜の準備に運ばれた盆にも卵黄が乗っていた。初めてで潤わない新妻のためかも。これって伝統なんだろうかと思ってしまった。でも感染症を起こしやすくおすすめではないけど。
監督が祖母から昔話を聞く姿が目に浮かぶようだった。
コメントする