「戦争の悲惨さ」プライベート・ウォー KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争の悲惨さ
改めて戦争ではなにもプラスな事は生み出さないことを実感させられた。
戦争は当事者同士が武力で争うならともかく全く関係ない市民を巻き込むから悪でしかない。
それが戦争の恐ろしさである。この辺りはもちろん誰もが分かってる事だと思うが、この作品ではさらに正義感の強いメリーが、正義感が強いが故に、罪なき市民の現状を世界に知らせる事に捉われ過ぎてしまったようにも思える。
もちろん彼女の行動は何一つ間違った事はしていない。彼女が命がけで、戦争地域の現実、事実を知らせてくれるから戦争を無くそうという動きや考えが芽生え、平和につながる一つのピースだと思う。
しかし彼女は正義感が人一倍強かったが故に、一線を超えた取材が多かったようにも思える。もちろんそのおかげで事実を僕たちは知り得る事ができるのだが、彼女の命を第一に考えると彼女の行動はいき過ぎて恐怖を覚えてしまった。
劇中で彼女が語ってたように、恐怖の先には終わりしかない。まさにその通りだ。
戦争というものをこうやって映画作品としてしか見ることができない僕にとっても、彼女の行動には恐怖を覚える。恐怖を覚えるからこそその先に期待するのではなく、肯定的な意味で彼女の終わり(行動的なもの)を望んでしまうのである。
上でも書いたように、戦争は罪なき市民の命を奪うとどうじに、メリーのような正義感(ジャーナリストだけではなく、兵士もそうだ)が強いものの多くの命も奪ってきてるのであろう。
まさに戦争とは何も生み出さない。悪しか残らないのである。
メリーは命がけでその事実を伝えてくれても、死後彼女が命を落としたシリアだけで50万人以上がまだ亡くなってるそうだ。その無情さに悲しさと同時に悔しさも芽生えた。
この作品を見てふと思ったのが、今年に入って議員やら芸人が戦争で領土を守れ、取り返せといったニュアンスを口にして話題になっていた。(鼻から馬鹿馬鹿しくて詳細を追ってないが)
彼らにも是非観てほしいと思った。改めて戦争なんていうものは肯定されるものではなく、簡単に口に出して良いものだと学ぶ事ができた。