「子を思う親の気持ちの難しさ」ある少年の告白 ジュンさんの映画レビュー(感想・評価)
子を思う親の気持ちの難しさ
本当は映画館で観たかったのですが、ぼやぼやしている間に公開終了となっており、今回DVDを借りてやっと観ることができました。
本編を観終わった直後は、なんだか前時代的でピンと来ない印象でした。
それは、自分や家族は無宗教であること、キリスト教の発想・知識がないこと、良くも悪くも日本で生まれ育ったからリアリティを持ってこの映画をとらえることができかったのかな、と。
全体の感想として、説明的でないというか、結構削ぎ落している要素が多いと思いました。
未公開映像を見て、あ、ここはこうなっていたんだとか、ここはそういう意味だったんだと、納得する箇所もあったりと、本編だけでは自分にはちょっと情報が足りていない部分もありました。
両親の形も方向性も違う愛が、様々な行動となって表れ、それによって傷ついたり、助けられたりするジャレットの姿に、胸がいたみました。
同性愛に関する作品や映像を見ていると、マーシャルのような父親はたびたび見かけます。
彼らは実際はどうであれ、本気で子どもを思っているつもりだし、それが正しい行いだと、導きだと思っている。
だから彼らは彼らなりのやり方で子どもを愛しているのだと、それを理解すると少し救われるとともに、絶望すら感じます。
自分を肯定して、自分は変われない、変わるなら父さんだ、というジャレットに努力すると応えるマーシャル。
エンドロールに笑顔で抱き合っている実際の親子の写真が映し出されます。
いま原作者がどういう状態でいるのか、きちんと調べてはいないのですが、理解した、否定しないといって、実際は線引きをして自分とは違うものと拒絶している、そんな父子となっていないでほしいと、願います。