パリ、嘘つきな恋のレビュー・感想・評価
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フレンチ流、大人のほうが愉しめるかな
スタイリッシュな映画。
シリアスにならずにコミカルなノリで好きな人は好き。きっと映画館ではここで笑うと私わかってるよ、というポイントもあり。既視感あるがフレンチ流にお洒落。
いくつかグッとくる場面あり、また人生に大切なのは仕事と友達だけでよいと思わせる。
ハッピーエンドが好きではない自分にとっては、別れるのがよかった。また再会までの部分もよかったと思う。もう少し描写があってもよかったか?
名作中の名作
Amazonプライム特典にて鑑賞。
大抵、人が嘘をつく時には何か目的がある。
騙して何かを奪うためだったり、自分をよく見せるためだったり。
けど、目的なく嘘をつく人もいる。
嘘をつくことが単純に面白い、という人。
本作の主人公もそんな感じ。
うまくいっている仕事を持ち、健康で、お金もあるイケオジ。
身分や名前を偽って女のコに声をかける。
本当の身分を言った方がモテそうなのに。
スリルがあって面白いから。
そんな遊び心で嘘をつく。
一見、誰も傷つけなさそうな嘘だが、ある時この嘘が思いもよらない展開へと彼を導いていく。
嘘を嘘と言い出せなくなって…。
BGMがカッコよく、映像も綺麗。
嘘をついてしまっているハラハラした、居心地の悪さがよく伝わってくる。
些細なコメディ要素も良い。ちょっと「ピーピー」(おしっこの意)言い過ぎだけど。
終わり方も良い。
小説でも、漫画でも、ドラマでもなく、映画。
映画がもっと好きになる。
そんな作品。
何はともあれ、オススメ。
ふだんネタバレを踏まえてばかりの私がストーリーを隠したくなるくらいには、オススメ。
タイトルとからめてまだまだ書きたいことはあるのだけれども。
(以下、未鑑賞の方にはブラウザバック推奨)
ス
ぺ
!
ス
を
あ
け
た
い
日本語タイトルが良い!!
「嘘」ってタイトルに入っているのが良い!!
誰の嘘なのか、嘘ってなんなのか。
2人とも嘘ついてるからね!
しょうもないけど言い出せない嘘。
嘘とわかりながらも、幸せでありたいから嘘を嘘と指摘しない嘘。
カップルのあたたかみ、友人の大切さ、職場の人の大切さ。
笑える中に、そういうハートウォーミングっぽさもあって、よかった。
優しくて大人な恋愛ものでした
スマートすぎるプレイボーイっぷりを損なわずにお堅くも下品でもないコメディ。フランス映画の成せる技なのか、オシャレとしか言い表せない。
最初障害とコメディと聞いて偽善と軽薄さでモヤモヤする事もあるかもしれないと思う自分がいたけど、そんな考えは野暮だったなと試聴後少し反省。
変に罪悪感とか被害者意識を感じず見ることができて素直に人と関わる事のあたたかさを感じられるラブストーリーです。
嘘が良い悪いとか置いておいて恋や愛を感じて心が喜んでいる事ってすごく良い事なんだなと素直に思えただけで自分にとっては見る価値が高い作品でした。
ウソが上手ね
映画「パリ、嘘つきな恋」(フランク・デュボスク監督)から。
フランス映画って、なんとなく理屈っぽくて暗い(汗)
そんなイメージがあったが、今回のラブストーリーは、
私のツボにはまった作品の一つかもしれない。
「ウソ」がキーワードだけれど、何度か台詞の中にも登場した。
職場・住まいと遠く離れた場所で「偶然を装う」。
(実際は、秘書が気を利かせて手配してくれたのだが・・)
主人公の彼女が演奏するコンサートが終了し、
コンサートホールを出たところで、男性が女性を待ち伏せ。
それに気付いた女性が、嬉しそうにこう話しかけた。
「偶然じゃないでしょ?、わざわざ調べて飛行機で来た?」
「いや本当に偶然だ」「ウソが上手ね」
「プラハで契約あったんだ。あなたこそウソを。
ソリストじゃないはずが1人で歌った」・・など。
ウソとわかっていても、わからないフリをするのは、
大人の恋だなぁ、とメモをした。
2人で向かい合って飲む時も(障害者で車椅子の生活だから)
「私のお尻、結構かわいいのに誰にも見えない。
キュートなお尻に!」とか「千鳥足に乾杯」など、
乾杯のたびに、何かメッセージを添えるなんて、
お洒落だな、と真似したくなった。
やっぱり、ハッピィエンドのラブストーリーって好きだな。
偽りの車椅子
フロランスは快活で積極的で素敵な女性ですね。たまたま近くまで来たからといってジョスランの会社に現れる。この時点で彼はまだジュリーのほうに気があったと思うんです。それが、テニスの試合を観て、彼の心が動いていく。
プラハでも、ディナーに誘うのはフロランス。
フロランスはジョスランに一目惚れだったのかも。ジョスランの方は少しずつフロランスに惹かれていく、それがよくわかります。
そしてあのロマンチックなディナーがいいですね。事のあとで、ジョスランがどうだったと訊く。彼はそれまで恐らく自分のことしか考えていなかったのでしょう。フロランスと出会って初めて相手を喜ばせたいと思うようになった。
外見イコール中身だと言っていた男が変わったんですね。
ルルドネタとか秘書のマリーとか、お父さんとかも面白い。
ラストのシーンも良かったです。ジンと来ます。
どんどんかっこ悪くなる主人公
最初は、嘘で固めたちょいワル親父で、ギラついてて、かっこいい!
恋をし始めてからは、なんだか自信なさげで、後ろめたさがあって、かっこわるーいおじさんになっていく感じ。
恋をすると魅力的になっていくのはもちろんだけど、かっこ悪いところを見せていくのも必要で、見せると余計に魅力を感じるんだな〜。
マリーがとってもかわいくて!素敵な人に出会ってほしいな〜
上質
洒落た感じの恋愛映画。
パリとフランスの代名詞みたいだ…。
ただ、本作は1クッション設けてある。
意中の相手が車椅子に乗る障害者。
昨今はこの呼称は使わないのかもしれないが、本作のヒロインは少し違う。
自分の境遇を受け入れるってのは、こおいう事なのかと思わせてくれる程、負い目がない。
彼女は社会的にも、自分の障害からも自立しているように見える。この作品の誰よりも、自身で立ち歩いているように思う。
そんな彼女に、いい加減の代名詞の主人公は惹かれてしまう。
上手いなぁと思うのは「一目惚れ」の表現の仕方で…彼女と初めて会った時、彼の目には彼女しか映ってなかったろうと思わせてくれる。
それこそ、彼女の車椅子も目に入らない程に。
物語はフランスの優雅で趣きのある風景と共に進んでいく。
洒落たオープンカフェにワイン。
柔らかなフランス語に、清潔感のあるファッション。勿論、小粋な会話も。
キュンとするシーンには事欠かないし、笑えるシチュエーションもふんだんに用意されてる。
このままお決まりのハッピーエンドがと思ってたら、ピクルスのような刺激も忘れない。
その辺りのネタが、さすがフランス映画と唸るような人間模様を入れてくる。
完全な善人などいないのである。
人は建前で生きてるし、本心は隠されるからこそ本心なのだ。
そのスパイスのおかげで、終始コメディタッチであった本作はギュッと締まる。
フランス映画特有ではないが、顕著だと思うのがキャラ設定の秀逸さだ。
どのようなエピソードも、どのような表情も、その役から離れる事が少ない。
シナリオ的なご都合はあるものの、キャラ的な違和感は目立たない。
それは凄くありがたい。
気軽に観れて、笑えて、少し考えさせられる。とても良質で上品なラブストーリーだった。
楽しかった。
笑顔の真実
金持ちの遊び人が
姉妹の介護士の妹と親しくなるために
車椅子生活が必要であると
嘘をついてしまったまま、
その姉に恋した。
彼女は足が不自由だが魅力的で、
そんな彼女と交流するなかで
改悛するはなし。
ではなくて、
主役は、ヒロイン役の
アレクサンドラ・ラミーかな。
下半身が不自由な女子、
しかも彼女は、
世界を舞台に演奏する
バイオリニストで、
車椅子テニスプレイヤー。
その彼女が、
心無しの男を、
自身が放つ人間としての魅力で
変えていくはなし。
初めに惹かれたのは、彼女の笑顔。
なんというか、
自信と敬愛を感じさせる笑みで
スクリーンに釘付けになりました。
その考え方にも。
ジョスランの嘘を
すぐに見抜いていたことは、
驚きでしたが、
気づかないふりをした理由は…
「~この有利な時間を、
しばらく楽しんでもいいでしょう。
しばらくはあれこれきかないで、
彼を信じるの。」
妹に語った心理には、
体にハンデを負って生きてきた人生と
共に培った強くしたたかな精神が
みえて、
観ている私が
気持ちを揺さぶられました。
かわいそうと感じさせない、
一人の女性のこころのあり方を
たくましく表現しているところに
彼女のプライドを感じて。
特別扱いが一番してはいけないこと
たんだと。
だから
プールでの口説きと、みなもに広がる
赤ドレスには、素直に
男女の恋愛として見れたし、
結ばれた二人には
応援するような気持ちに。
傷つけないように考えた
神による嘘のごまかし方なんて、
やるせなくて、
はずかしくても、
落としどころをつけるために
する大人の恋愛のやり方として
理解できました。
でも、
さすがに、
愚かな行為を恥じた相手に
どのように対応するのか、
傷つけられた彼女が
どう反応するかのかが
わかりませんでした。
だから、
人間性を根底から改心した
ジョスランが
秘書に対してみせた思いやりも
空しかった。
そんな、
気持ちになりながら迎えた
最後に用意された
マラソンのゴールシーンは
よかった…
倒れた彼へ対しての
どこまでも、
素敵な振る舞いと台詞が
忘れられないです。
個人的には、プラハで、
演奏後出てきたフロランスに
ジョスランがたまたま観にきたと
会いにいくところから、
二人のデートになって、
夜明けの川辺を眺めるシーン
が好きです。
その後も、度々、お互いが使う
このフレーズ。
ラストシーンでも
でてくるこの、
「ついでに」という言い回しが
気を使わせない
遊び言葉としていいです。
まぁ、
もちろん相手も
ついでに、こんな場所にきたり
そんなことまで
しないことはわかるんですが。
お互いだけがわかる
フレーズとしてつかっていたのが
楽しい。
おすすめ。
赤!!
この映画のテーマカラーは赤である。
赤いポルシェ、真っ赤なドレス…
それらがリズムを造り出していて小気味良い。観てる人を飽きさせない。
至るところにジョークというかネタがちりばめられている。一番笑えたのはポルシェのフロントトランクに車椅子をねじ込んでたところ。しかし、主人公のジョスランはそんなに格好良くないんだけど…まぁタキシードでバッチリ決めればそれなりだからいいのか?
フロランスが脚のムダ毛を抜いてるシーンがあったけど、いくつになっても乙女心を忘れない女は素敵!私と同じピンセットを使っていた(笑)
医師で親友のマックスや個性的な秘書のマリーなど、登場人物が皆一癖あって面白い。
ラストはあり得ない…映画的だったけど感動しました。
前時代的な価値観に居心地が悪い
何から何まで「前時代感」で覆いつくされているようだと思った。
まず主人公の恋愛や女性に対する価値観など、バブルを経験した60歳前後の男性のそれのようでまったく現代的ではないし、仮に現代の49歳男性(主人公の設定年齢)に置き換えたとしても前時代感が色濃く残る。そしてそれは映画が扱う「障害」に対する価値観もまったく同様であり、現代社会における障害の捉え方とそこかしこにズレがある。そのことに気づかないまま、強引にコメディを押し通していく様子に、私は最後まで違和感を拭い去ることが出来なかった。こういうことを言うと「障害者をコメディで取り上げてはいけないのか、それこそ差別だ」というようなことを思う人がいそうだが、むしろ逆である。障害者の取り上げ方自体が、前時代的で古いということを指摘しているのだ。
なんとなくだけれど作り手の身近に障害者はいなかっただろうなぁ、この映画の制作の現場にきっと障害者はいなかっただろうなぁというのが透けて見えるよう。そしてエンドクレジットで、監督と脚本と主演男優が同一人物であると知って、妙に納得してしまった。この映画の視野の狭さが急に解せる気がしたのだ。と同時に、彼のプロフィールを見て彼の実年齢が55歳であると知って尚更合点がいった。この価値観はこの世代の価値観だ。現代にアップデートし忘れた旧モデルの価値観。
そもそも私には、嘘をついた主人公にどうしても好感を抱けず、相手役のアレクサンドラ・ラミーがチャーミングで魅力的であればあるほど、二人が不似合いに見えてしまう。「嘘をついてばかりの男が正直になる」という点がテーマなので、根本を否定するようなコメントだが、50歳近い男がくだらない嘘をついて、それを馴れ合いの友人に相談して・・・みたいなのがとにかく幼稚で見ていられなかった。全体的にやっていることが幼稚。そして幼稚とピュアはまったく別物だし、幼稚と笑いも別物だと思う。
これ、マラソンが趣味で有名なスニーカーブランドで役職に就く男が不慮の事故でが不自由になり、車いす生活になったことを未だ受け入れられずにいるところ、同じく車いすの女性と知り合い惹かれ、健常者ではない障害者としての「初めての恋」をする・・・ぐらいの設定じゃだめだったのかなぁ?フランク・デュボスクがやりたい喜劇が「嘘」と「ドタバタ」だったのならそれは仕方のないことだけれど。私の個人的な感覚では、どうしてのこの映画の「嘘」がまったく楽しめなくてだめだった。決して「嘘」がいけないわけではなく、「嘘のつき方」が私には合わなかった。
フランスのロマンティック・コメディが大好きで、この映画もかなり楽しみにしていただけに楽しめなくて残念だった。嘘をついた主人公がチャーミングに感じられず、内容全体における価値観の旧さが最後まで引っかかって仕方がなかった。どう見たって60歳なのに無理やり40代の設定に押し込んだ図々しさも含め、終始きまりの悪い映画だった。
大人の恋
軽く嘘を付ける男性と、嘘を見抜いているくせに知らないフリをする女性、それぞれが本当のことを言えないのは、終わりになることが怖いから。
二人が車椅子に乗って、夜明けを見るシーンが美しく印象的だった。
優しさ
何でも手に入れた主人公ジョスランが、それまで気にも止めてなかった人達の存在に気がつき、彼らの存在によって自分自身が変化していく。「最強のふたり」は障害者が主人公だったので社会的マイノリティの描き方に当事者性がありました。今作は健常者が障害者を演じることにより当事者性を少しずつ身につけていくので、健常者の自分だったらどうするだろうと自分自身に重ねて鑑賞することができました。
この作品の素晴らしいところは、フロランスにジョスランが合わせていくところです。勝ち組がマイノリティに合わせていくところです。学歴も経歴も華やかな勝ち組男性が雰囲気的にも自分に合わせろと言わないところです。世の中は強くてお金のある男性に合わせなくてはいけない雰囲気があります。マイノリティを相手にもしない雰囲気があります。でもそうではない作品の描写が優しくて凄く嬉しかったし、時代が変化しつつあることを感じました。
恋愛を忘れた私へ、あなたへ
大人になった私は、恋愛への興味も薄れ、始まり方も忘れた。
とある日、とある男性とひょんな出会いから流されるように恋愛を始めた。
周りに反対されながらも信じる決意をしたが、結果はうまくいかなかった。
いくわけがなかった。
私に残ったのは、楽しかった日々と、その倍、悩み苦しんだ日々。
そして愛することと愛されることの二重の幸せを彼から貰った。
立ち直りつつも、何か答えが見つからない一年だったが、
この映画で胸のつっかえが取れた。
フロランスが「愛されるっていいわね。」と言った。
見抜いていてもその船に乗ることで、愛される幸せを噛みしめるフロランス。
「ああ。それで良かったんだ。」と、映画を観ながら心が楽になった。
原題の「Tout le monde debout(さぁ立ち上がって)」の通り、
立ち上がる勇気をくれた映画でした。
CG成熟の特殊効果では表現できない人の心の描写が詰まった映画
定期的に訪れるフランス映画欲と松竹が配給するフランス映画も珍しいと思って鑑賞。
昔はこの手の作品はシネマライズ辺りでお洒落な料理も添えられた素敵なパンフを片手にペリエを飲みながら観るのが幸せだったなぁとしみじみ思いつつ、ポップコーンとコーラで鑑賞。
主人公ジョジョの演技力もさることながら、脇役と呼んで良いのが彼の「自宅」なのではないだろうか?
ヒロインを食事に呼んで、気持ちが高まった時に押すリモコン。
ラブコメディだったはずなのに一気に美しい映画となった瞬間。浮かぶ蝋燭の光と、放射禅定に広がる赤いスカートが彼女の気持ちをうまく表現していた気がする。
双子の兄から、嘘のほつれがどんどん酷くなるのに対してそれでも隠そうとする彼の気持ちもわかる。
変わるのが怖かったんだよね。
彼女に一度振られて、日常を振り返り、物事の見方が変わって生まれ変わった彼が、苦しみながらうずくまった瞬間に差し伸べる手の力強いこと。
原題は最後に出るテロップの「立ち上がろう」だったと思うけど、現状を変えるべく自分自身に向き合って立ち上がる、そんな話と素敵なラブストーリーで41歳のオジさんも劇場で泣いてしまいました。
女性には勿論ですが、こういう映画をもっと多くの男性陣が観てくれれば、世の中は少し幸せになれる気がする。
「罪のない嘘」の境界線
気になる女の人と仲良くなりたいがために、足に障碍があるって嘘をついたら取り返しが付かなくなっていったって話なの。
この嘘が「青年実業家です」とか「売れてる漫画家です」とかだと良くある話なんだよね。最後に「あなたの属性じゃなくて、あなたそのものが好きなの」っていうお決まりパターンでいいから。
「障碍があるって嘘いいのかよそれ」って思いながら観ていくんだけど、「他の嘘と同じだ」って気がすんの。「嘘は許せない」はあるかも知れないけど「障碍に関することだから許せない」はないなあって。
主人公は何回も本当のことを話そうとするんだよね。でも話せない。それは歪んだ愛の証なんだよ。『話したら失う』から話せないの。
それでそのことにヒロインは気付いてたんだね。だから本当のことを話そうとすると、誤解したふりして、うまく話を逸らしてる。
最後は「ヒロインは、主人公の嘘を知ってました」ってことで話が進むのね。ヒロインも嘘を知らないふりをするっていう嘘をついたの。『愛されてるっていいわね』のために。そして主人公が本当のことを明かしたら、別れる決心をして会う。
いったん別れた二人。主人公がヒロインのことを思いながら走るマラソン大会で走れなくなったところへヒロインが現れて『それで、諦めるの?』って最高だね。障碍に関する嘘はついたけど、本当に愛しているってとこに嘘をついてないからね、二人とも。
最初にヒロインのアレクサンドラ・ラミーが現れたところから「この人もてるだろ」って思うのね。『私に恋は訪れない』って言ってるけど「そうなの?」っていう。超魅力的に描かれてるから。
アレクサンドラ・ラミーの主人公の落とし方がいい。『二人で食事はどう?』『偶然なんて嘘。わざわざ調べて飛行機で来た』と突っ込んでみたり。部屋の前まで来て帰るときに『私はいいわよ』とサラリと言ったり。
そんなラミーが家での食事に電話で誘われたとき、素っ気ない対応しといて、切った瞬間のガッツポーズとかもいい。別れるときのラミーの決断もカッコいい。この話、男はヘタれてるだけなのね。ほぼ全て女の方でなんとかしてるの。
秘書も、主人公の親友マックスもいいし、コメディも鼻につくところもあるけど面白いし、何よりアレクサンドラ・ラミーがいいから、面白いよ。
いい映画。観て良かった映画。
おおよそ作品紹介に書いてある事しか起きない。ショッキングな展開も、どんでん返しも、余命宣告されたヒロインも、定期的に記憶を失う奇病も登場しない。
ヒロインは車イス生活だが、その辛さ等はほぼほぼ描写されない。良し悪しだが、ラブコメなので良しとしたい。むしろ障害者問題が蔑ろにされている、なんて言う奴は野暮である。
フランス映画って良いなぁ。
大人にエールを送るラブコメディ
フランスらしい、笑いと恋愛たっぷりの人生謳歌。
嘘つき、お調子者、女たらしと中身はダメダメの主人公、見た目はダンディな超絶ハンサムで地位のあるお金持ち。うっかり落ちた本気の恋にオロオロと一生懸命、なのに穴だらけの取り繕いが笑いを呼ぶ。
一方のヒロインの、生命力に溢れて魅力的な事。両足が不自由で車椅子生活ながら、仕事もプライベートも全力で謳歌する。
彼女は【騙された障害者】ではない。主人公の嘘に気付いて別れを示唆する妹に、真実はとっくに知っている、でも「恋愛を楽しむ時間は逃さない」、と告白する。騙して馬鹿にしてるんじゃない、この人私に気があるんだわ、と、気付いた上で、恋を全力で楽しもうとする力強さ。最っ高にいい女!
パラスポーツやバリアフリーなどの障害についての表現ももちろんあれど、余りそれに特化した主張は、私は受け取らなかった。
違う世界の人と距離をおかず、内面を評価し、一人の人として惹かれる事で縮まる距離。
勇気がない、気持ちに正直になれない、人に誠実に向き合えない…。あなたの幸せを阻害している【障害】は何か、向き合って、受け入れて、少し踏み出してみようよ。
恋も人生も楽しんだ者勝ち!とのエールに思える。
固く受け取らず、元気のでるラブコメディとして楽しみたい。
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