「記憶を消すという展開装置が、そもそも出来の悪い設定だと思った」記憶屋 あなたを忘れない ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
記憶を消すという展開装置が、そもそも出来の悪い設定だと思った
主人公は、彼女の記憶を消されて怒っている。
記憶を消せる人がいるらしく、
探し出し、彼女の記憶を取り戻させようとする。
調べていく過程で、彼女には記憶を消したくなるような出来事があったらしい。
それは何なのか、誰が記憶を消せる記憶屋なのか、というストーリーなのだが、
へー、あっそうと、全く興味を抱くことが無いまま話が進んでいく。
都市伝説的な「記憶屋」という存在を使った、ファンタジー作品という括りになるのだが、
時間を移動して過去を変えるといったタイムリープ系ファンタジーよりも、装置として弱いし、
記憶消しジャンルでいうと、「エターナル・サンシャイン」に近い設定なのだが、
エターナル・サンシャインよりも謎解き要素が加わっているものの、
謎解きの動機が弱く、カラクリの解明も不透明で、なにより、主人公のエゴが動機になっていて、
消されたという「エゴ」の動機が、「消したい」という動機よりも不誠実だし、胸糞っぽさの予感しかない。
「ほっといてやれよ」に最後は帰結するので、主人公が色々動くことが無意味に感じる。
そもそもエターナル・サンシャインって真似されるほどのファンタジーの名作なのか?という疑問点もあるし、
主人公のエゴだけでなく、後半は記憶屋のエゴも関わってくるので、
記憶を消すという展開装置自体に、次第にネガティヴな物しか残らなくなるので、
あんまり良い展開装置ではないなぁと思った。
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