「「エターナル・サンシャイン」に遠く及ばず」記憶屋 あなたを忘れない AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
「エターナル・サンシャイン」に遠く及ばず
松竹配給・山田涼介主演作では「ナミヤ雑貨店の奇蹟」で失望したので、今回も悪い予感があったが、残念ながら今作もいまひとつ楽しめないままだった。
“記憶を消す力”の元ネタは多分チャーリー・カウフマン脚本、ミシェル・ゴンドリー監督の傑作恋愛映画「エターナル・サンシャイン」だろう。あちらはSF的な舞台設定で元交際相手に関する記憶を消す装置が登場した。「記憶屋」ではある家系に代々引き継がれる超能力という扱い。第一の問題点として、話の肝である「記憶を消す」行いの描写がほぼ無いに等しい。虚構の設定を観客に信じさせようとする努力が希薄なのだ。
現実的に描かれるべき他の部分も雑。弁護士事務所でのやり取りでは、弁護士も助手も守秘義務意識が低すぎて呆れる。演出もシリアスな状況に微妙な笑いを入れてきたりと中途半端。芳根京子の熱演がもったいない。感動には程遠いが、感動の押し売りでないだけ「ナミヤ~」よりはいい。
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