「映像美だけの、感動ポルノ」天気の子 加藤プリンさんの映画レビュー(感想・評価)
映像美だけの、感動ポルノ
映像美は素晴らしいが、脚本、演出が全然 機能していないのが、なんとも言えない。
思春期 真っただ中の、お子様 性欲男子なら、共感できるのだろうけれども、
彼らを痛めつけるべき、冷たく、邪悪な社会構造そのものは、
別になにも 悪くないのですね。
銃を拾った主人公が、その暴力性に狂う展開があるのかと思えば、そうでもなく、
ファンタジー設定にも、なにも共感性もなく、ただただ、設定されたとおりの人物がいるだけで、
そこに、なんのドラマ性も、成長感もないのですね。
描かれている社会は、お子様には厳しいのかもしれませんが、
オトナからしたら、至って普通の社会そのもので、
それを冷たいとか、辛いと感じるには、主人公たちが あまりに幼いからでしかないのですね。
彼らの年齢設定は、そのためだけのものであり、なんら必然性がないのですね。
その幼稚性により、この世界の東京は水没する訳なのですが、
古典由来の下敷きは、わからないではないのですが、
ただただ、主人公たちの成長もなければ
それを「天気の巫女の宿命」と、その犠牲性にだけ 委ねるには、
人物のヒロイン性も弱ければ、そもそも、設定そのものに 無理があるのですね。
水没させられた一般人や、脇役たちには関係なく、そのまま死亡した人々の無念や
災害の残虐性は描かれることがなく、
一部破壊された都市機構としか描写されません。
この作家にとって、災害とは、あくまで、設定でしかないのですね。
実際の災害の悲劇性と、この魅力のないヒロインを天秤に懸けるほどのドラマテックな展開も、まったくありません。
物語の山場に、こういった曲を流しておけば、観客は感動するだろう、というのは、
作家の怠慢であり、傲慢であり、安易な手法でしかない。
物語にテーマ性がなく、ドラマが生まれないのは、そもそもの脚本と演出に素養がなく、
作家性の欠如としか言いようがないと思います。
非常に優れた商業作品なのでしょうね。 私には理解できない。理解できるが、大勢の観客を下に見た
残念な作家性しか見えなかったのです。
続き
優れた原作類、脚本家等相棒を早急に見つけるべきでしょう。
黒澤明も脚本家を集めて作品に恵まれた。
少なくとも、川村元気とは今すぐ手を切るのをお勧めします。w
おっしゃる通りだと思います。
この監督はじめ最近の一線級のアニメ作家はテクニカルに高度にまとめ上げる能力は文句がないと思います。
しかし作家としての表現の元のようなもの…マニュアル化出来ない人生そのものでしょうか?
脚本やキャラクターや演出の方向などに言語化困難なズレのようなものを感じます。
私は全員に作家性の必須を求めるのは必要ないという立場なので