「新海誠の新たなる挑戦」天気の子 akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
新海誠の新たなる挑戦
今回は、親に無断で島を出てきた16歳の金も才能もないのに東京に憧れる家出少年が主人公だ。家出してどこに住むかとか何をするかほぼ決めていない。今現在もマクドナルドで過ごす少年たちは実際いるのかわからないが、そういう少年少女たちとその親たちへ向けて新海誠と川村元気たちが頑張って作った映画のような気がする。勝手な憶測だが。
好きな人を愛する純粋さということでは、新海作品のこれまでの主人公たちと同等だろう。世界のルールをいろいろ無視しても大好きな子をこの世に取り戻してくる元気は素晴らしいというか、あれくらいの強い気持ちはなかなか持てない。
ただ、前作君の名は。よりは物語自体ののパワーは落ちているし、もうふたひねりくらい欲しい感じもある。
「言の葉の庭」にでてくる主人公よりは、すこしバカになり、捨て身になりかつ、エネルギッシュにはなった。ただ、知恵はまるでない。Yahoo!知恵袋の時代の子供たち。このことは何を意味するのだろう。偶然にも拳銃まで手に入れた。あと少しでひとを殺していたかもしれない。
好きな誰かを守るために、世界を破壊しようとするのでは、どうしようもないバカである。新海作品のテーマがもろに出てきている。
この愚鈍な世界を守るために、誰かひとりが犠牲になるということの愚かしさを描いているのだとしたら、名作だとおもう。こんな愚かしい世の中のために誰も命を犠牲にする必要なんてない。その手法は古い。もっと色々なことを暴かなければならない。正さなければならない。
その一方で、公共の福祉という大義は存在する。
製作予算獲得のために間口を広げすぎたきらいはある。そんなに商業主義に走らなくてもと思うが、次回作くらいは新海作品を追いかけていきたい気持ちもある。