「狂気の子」天気の子 kwskさんの映画レビュー(感想・評価)
狂気の子
最初の感想は「つまらない」でしたが、そもそも私の受け取り方が間違っていたのではないかと思いましたのでまとめてみました。
まずこの作品はセカイ系のボーイミーツガールの青春ラブストーリーだと思いますが、そもそもこの認識が間違ってるのだと思いました。
この作品は主人公帆高の狂気を描いたダークファンタジーだと考えると色々なモヤモヤがスッキリします。
批判点としてよく上がっているのが帆高の行動に共感できない、彼に感情移入できないために置いてけぼりにされた感じがするというものですが、単に帆高が元々狂ってるということで説明がつきます。
むしろ帆高に感情移入させるつもりなどハナから無いのだと思います。
彼の背景は殆ど描写が無いですし、ラストの彼を見ても家族関係も悪くなく地元の人間関係にも特に問題は無いように感じます。
そんな彼がなぜ頑なに地元に戻らず、犯罪を犯してまで逃避行を強行したのか観客には理解できないので当然彼に共感できるわけがありません。
彼が陽菜にあそこまでの熱情を向ける理由が分からなかったために彼に共感できなかった方も多いでしょう。
若いから、向こう見ずな10代の恋愛だから、で説明がつくレベルを彼は逸脱しています。
特に批判の的となっている拳銃ですが、あれこそが帆高の狂気の象徴なのです。
考え直してみれば船上に初登場した時から彼は雨に狂喜乱舞していましたし、ずっと帆高は狂気の存在として描写されていたのです。
それなのに我々は彼を普通の高校生だと思い込もうとしていたため歪みが生じてモヤモヤしながら観ることになったのです。
ちなみにラストに近づくにつれて圭介や夏美も事務所を水浸しにしたり警察に逆らったり狂っていきますが、これも帆高の狂気に感化されたためです。
最終的には世界も彼の狂気に感化され、東京は元から海だっただの世界は元から狂ってるだの、帆高の行為を当たり前に受け入れる人間ばかり描写され、3年間雨しか降っていないのに元気に桜が開花しています。凄いですね帆高。
外側だけうまく青春ラブストーリーで仕立て上げ、中身は狂った主人公が世界を狂わせる話にするという辺り、流石新海誠というところでしょうか。
君の名はがかなり大衆寄りだったので変わっちゃったなと思いましたが安心しました。
ちなみに万が一これが徹頭徹尾青春ラブストーリーとして制作されていたのであれば星1つです。
めちゃくちゃおもしろいコメントですね。笑
たしかに納得がいきます。もともと狂っている発想はなかったです。笑
狙ってやっているんだとしたら、新海さん相当すごいですけどね。狙っているのだとすればですが。