「愛にできることはまだあるよ。」天気の子 しまふぐさんの映画レビュー(感想・評価)
愛にできることはまだあるよ。
新海誠監督作品は最初期の頃より認知していて感銘を受けてきました。(全ての作品をその時々の学生時代でほぼほぼリアルタイムで遭遇し、体感することが出来、大人になり、現在に至ります)
まだそれは『OtherVoices』の旧HPだった頃からです。なんだかその頃の一部アニメーションファンの驚き加減であったり、連帯感だったりが今はもうすっかりと懐かしいです。
映画『君の名は。』の記録的大ヒットにより、これまでの新海ファンではない、数多くの一般ピーポーが新海誠監督作品に雪崩れ込んできた事が良くも悪くも、新海監督の作品創りに影響を及ぼしていると日々感じています。
『天気の子』
映画館で初日公開日より、これまでに5回観てきました。
それくらい個人的には面白かったし、映画を観ていてなんだか嬉しかったです。(隠れミッキーマウス的な要素があちこちに潜んでいるので、映画のリピートにもすっかり貢献。場面場面の情報量が多いシーンがけっこうあるので最初に観た時は集中力が必要になりました)
「君の名は。」で大衆化路線へ邁進した作品創りから、今作の「天気の子」では大衆向けの映画としつつも、作品に内包されている物語の展開や演出、音楽の配置や音楽の歌詞など、それはどこかこれまでの新海誠監督作品に立ち返っているようで、これまでのある種実にマニアックな仕上がり方を魅せていて本当に嬉しかったです。
『ほしのこえ』や『雲のむこう』
『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』『Z会CM』etc.
そして、前作の『君の名は。』
それら全てに通じる新海監督の想いや眼差しが『天気の子』に継承されていて感動しました。
特に前作の「君の名は。」からの設定的継承は純粋に面白く、遊び心に溢れていて驚きました。
平成(君の名は。)~令和の物語(天気の子)として。
彗星と結び、天気と世界の選択。
二つの作品のモチーフの融合がとても興味深いものでした。(監督の作品はどれもそういったモチーフや物語的な繋がりの継承がみられてとても興味深いですよね。どこか全ては繋がっているんじゃないか?と映画を観ながら、小説を読みながらはっとしています)
初期の天門さんとの音楽
近年のRADWIMPSさんとの音楽
新海誠監督が手掛ける映画は音楽との親和性が非常に高く、空や雲の描写、日常の背景美術の美しさと相まって、新海監督の「作家性」「画家性」「唯一無二のオリジナリティ」を獲得しているように思います。
レビューが長くなりましたが
新海誠監督作品『天気の子』
エンターテイメント性に富ながらも、これまでの新海作品に見られた「新海らしさ」を獲得し直していっているこれからのターニングポイントになっているであろう快作を一ファンとして非常に嬉しく思い。レビューとさせて頂きます。
追伸
『天気の子』
声優陣の演技が素晴らしく
特に「先輩」の声の演技は本当に見事でした。またこれからも先輩の声をどこかで聴きたいです。