「初めての痛手な恋を思い出す作品」天気の子 すみっこさんの映画レビュー(感想・評価)
初めての痛手な恋を思い出す作品
新海誠監督の作品はどれもみております。絵や見せ方がとても技術が高くて、映像で魅せられること必見。
主人公はひたむきで一途な男の子です。
初めて人を好きになった!初めて女の子の部屋に行った!
そして好きな人の為に、初めて贈る誕生日プレゼントは3時間も悩みます!!
かわいい店員さん(三葉)の後押しもあり指輪を選びます。
これは引くわ!と心でさけびながらその気持ちの重さが大変愛しくむずむずっとした場面でした。
(指輪をもらうというイベントは私の人生にもあった気がする。)
ですが個人的に主人公の気持ちの高ぶりや興奮、動揺など 気持ちの面で共感しづらい面がありました。
絵や描写がとても美しく丁寧なのでもちろん感情を 想像で補うことはできたのですが・・・。
一緒に映画を見に行った友達は、すごく共感出来たと言っていて、見る人の感性によって感想が分かれるなぁと新鮮に、また少し寂しく感じたかな。
・ 「恋愛としての好き」
・「好きだから周りが見えなくなる」といった要素が自分の価値観とはすこしかけ離れていて追いつかなかったのだと思います。
一緒に見た友人はそういった想い、不器用だった、好きという感情を思い出しながら見ていたようです。
お行儀が良くてきちんとしたうえで 弱くて、実は耐えている といった影の努力家、健気な苦労人といったヒロイン的ヒーロー人物像が多い気のする昨今
スポットライトには当たらないけれどこういう人少なくないという人物像の帆高くんには大変関心をそそられます。
アニメでいうと 帆高くんの対極のキャラクターはエヴァンゲリオン碇シンジ君かなあ・・・。
シンジ君も決して多くの人から大好き!!と言われるようなポジティブな人柄ではありませんが、多くの人が共感できる心の闇を抱えるどころか放出していましたね、彼の角度の違った別バージョン的主人公というとすっきりします。
帆高君の好きは陽菜一点に向けられているので好きな対象の為に破天荒な行動、周りが見えていないことはありますが、好きの対象を決して傷つけません。
シンジ君は保守的なあまり、自分以外の他人には攻撃的になり歯を向けるので、映画を一緒に見た友人と私の好きに対する考え方の違いがそこにあったのかもしれません。
描写は現実的でシリアスな部分も多く、純愛×不器用なほろ苦い大人の作品であるといえますし
小さなお子さまといらしているを親御さんはキーとなる「銃」の存在や「平手」などのシーンにぎょっとするかも。
凪君のポジションが濃すぎず薄すぎずなのに好感がとても持てます。めちゃくちゃいい味出してました。
新宿に訪れた人ならわかるレトロな感じ、人がたくさんいてさみし気で
ラブホテルのあの独特の雰囲気の中味わうチープな高級感・・・
そして、この作品でキスの1つや2つしてもおかしくない雰囲気の中、とても古風で純愛で 天気という明るいモチーフを題材にしているからこそ、純愛とかけはなれた展開にならずほっとした自分がいました。
あと1度は映画館で観たいと思える作品です。
また物語一番の盛り上がりのあたりで「グランドエスケープ」という曲が今までにない音楽として耳に入り音源購入を決めました。
決して雰囲気映画とは言わせません、途中中だるみすることもありません。
頭は使わないけれど 感性が似た人は3倍楽しめる そんな映画でした!