MANRIKIのレビュー・感想・評価
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こんなに考察の幅がある映画なのに悲しい
途中の永野演じる整形外科助手のセリフ
「この世界は妄想で出来てると思ってるの。あるきっかけで秘めた妄想が爆発してこの世界を彩ってるの。きっかけって何か分かる?死よ。」
このセリフから考察を広げていくとかなり面白い。
以下は自分なりの考察
・整形に嫌悪感を抱くサイコパスな死刑囚が、死を間際に妄想が爆発して生成された世界
・妄想世界の登場人物は、死刑執行間際で会った関係性の薄い人物が主要
死に際で見た妄想の爆発力と死刑囚自身の人生のチープさを感じて鳥肌が立った。
【斎藤工の映画愛が溢れ出る、ファンタジックホラー】
永野、金子ノブアキの怪しさ。
神野三鈴の信じられないお姿。
万力のアレは絶体イヤだ!
"暴威"に笑った時点で、負けたと思った。
〈勤務先の近くの素敵なミニシアターで不可思議な映画を観た。
悪くない・・・・。
それにしても、斎藤工さん、ラストのあの綺麗事の為に今作を作成したのではないよね。楽しんでいるのが、バレバレである。〉
顔デカ
芸人永野の持ちネタと言えば『ラッセン』というのは浸透しているだろうが、実はそれ程彼自身の芸風やそれこそコントやしゃべり芸は全く存じ上げていない。いわゆる“音楽ネタ”でバズったという認識で、後はその特異なキャラクターで世間的には一種の“キモさ”みたいなものがフィーチャーされているのではないだろうか。そんな彼の原作に、これまた或る意味オルタナティヴな立ち位置にいる斉藤工や金子ノブアキといった俳優が混ざり合う作品なのだから、一筋縄ではいかない内容かと思い鑑賞。
確かに、想像通りのシュールレアリスム的、且つオーバーフローのホラーとゴア表現に埋め尽くされた内容であった。多分、永野の頭の中の抽象概念を具現化した際の映像なのだろうが、この男の狂気を映像化したら、品のないデヴィッド・リンチが「こんなんでましたけど」的と表現したらよいか。だから粗筋も何も解読するだけ無駄であろう。全てが正解で全てが誤解なのだろうから。なので自分の印象での感想しか述べられないので悪しからず(と、予防線を張ってみる)
そもそもがラストのネタバレである、死刑囚の妄想が今作の繰広げられるストーリーであり、テーマとすれば『自分らしさ』、自己肯定ということだろうか。まぁ、それさえも解釈できていないピントズレと思われるだろうが。だからその辺りの説明はもっと頭脳明晰な人がどこかで評論してくれるだろう。シークエンスは、初めの美容整形の話、そしてそれが罪になり急転直下、逃亡犯としてヤサグれ、彷徨うストーリー展開となる。そしてそれが結局、男の妄想であり、電気椅子に送られるというオチだ。エピローグに巨大な万力を拾った男(暴威)が映っているカットが現れるので続編希望的な匂いもプンプンだ。
まぁ、それは置いておいて、前半、後半ともおどろおどろしい女の執念がステレオタイプ的に描かれていて、その辺りのシュールさを狙った画作りであることは理解できる。尚且つ、やもするとチープさが窺える特殊造形の使用も又一役買っている効果なのであろう。ナンセンス感を大量に浴びせることで観客の平常心を根こそぎ奪う戦略は面白い。正常に評価させない力業がそこには存在している。それがいいかどうかは別にして。万力で潰した顔とか、笑わせようとしているギャグもここまで来ると凄みさえ印象づける。本来、怖さと笑いは同じ引き出しに入っている脳の働きを再確認させる事を意識づける内容であろう。
かといって、今作品のセンスを問われれば、自分には解らないが・・・。劣化版リンチ作品としてのイメージだけは付け加えておく。
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