「共存出来る日は必ずやって来る」ヒックとドラゴン 聖地への冒険 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
共存出来る日は必ずやって来る
ドリームワークスの人気アニメーションの第3弾で、完結編。
当たり外れの差があるドリームワークス・アニメーションの中でも最も好きで、数年置きに見てきた本シリーズも遂に見納め。
思えば、1作目は傑作ながら日本ではヒットせず、2作目も傑作ながらまさかの劇場未公開! そんな不遇に見舞われながらも、最後は再び劇場公開。
一度は劇場で観たく、今作は地元の映画館でも上映(1作目はこちらでは上映しなかった)。念願叶って、やっと!
…が!
昨冬仕事が忙しく、『男はつらいよ』『SW』を優先し、結局また観れぬまま…。
時間を割いてでも、やはり劇場で観るべきだった!
長としてバーク島の平和を守るヒック。
まだ亡き父のような偉大な長ではないかもしれないが、あの気弱だった男の子が立派な青年に成長したもんだ。
アニメーションとは言え、ずっと見続けている者からすれば親目線で、しみじみ感慨深く…。
トゥースとの絆も変わらず。
ある日捕獲されたドラゴンたちを救出中、トゥースだけと思われていたナイト・フューリーの生き残りを見付ける。
白いメスのナイト・フューリーで、“ライト・フューリー”。
トゥースくんはあっという間にフォーリン・ラブ。“彼女”の事で頭がいっぱいで、初恋にウキウキ♪の少年状態。
ヒックの目下の問題は、周囲から薦められている幼馴染みのアスティとの結婚ではなく、増え過ぎたドラゴン問題。
そこでヒックは故郷を出、亡き父が探し求めていたドラゴンの“幻の聖地”へ移住を決意。
地図にも無いその聖地へ総出で冒険が始まるが、最強のドラゴン・ハンターが付け狙う。
目的は、ナイト・フューリーを殺す事…。
実在しない生き物、ドラゴン。
しかしそれを、まるで実在するかのような生き物感たっぷりの仕草、ヒックの愛くるしい表情は健在。
ライト・フューリーと少しずつ距離を縮め、お互い恋に落ちる様は、アニメーションのドラゴンと言うなかれ!
感情移入必至!
ヒックとライト・フューリーが共感ならば、その対極にあるのが、今回の敵。最強のドラゴン・ハンター、グリメル。
前作のドラゴも強敵だったが、グリメルは頭が切れ、用意周到。抜け目の無い知能派。ハンターとして常に相手や獲物の先を読み、ヒックたちの先手も手中。
吹替で見たのだが、松重サンの声も見事な憎々しさ。
悪役は憎々しければ憎々しいほど。こういう悪役を最後の最後にギャフン!…と言わせる為に!
今回も多彩なドラゴンが登場。
映像の美しさ。聖地への入り口、そしてカラフルで幻想的な聖地のイマジネーション。
本シリーズの魅力の一つ、飛翔シーン。トゥースに乗っての飛行、トゥースとライト・フューリーのランデブー、クライマックスのグリメルとの空中決戦…圧倒的な浮遊感を、今更ながらやっぱり劇場で体感したかった!
実を言うと見る前は、ラストの決戦は前作に劣るんじゃないかと。だって前作は、ゴジラ級の超巨大ドラゴンが現れたから。
何の何の!
その浮遊感に加え、入り乱れるヒックとトゥースと仲間たち、グリメルや敵ドラゴン、ハラハラドキドキと迫力のアクション。
このシリーズは裏切らない。
ドラゴンと友達になれたら…?
童心くすぐる設定に、ワクワクの冒険とアクションのエンタメ性。
映画としてのクオリティー。
締め括りも良かった。それは言うまでもなく、高いドラマ性。本作の最大の魅力。
気弱だが心優しい少年と生き残りのドラゴンが出会って始まったこの物語も、いよいよその時が…。
このままずっと一緒に、共存出来ればこの上ない幸せだろう。
が、まだ今は、人間とドラゴンが共存するには難しい世界。難しい時代。
必ず、狙う悪が現れる。
そんな奴らから友を守るには…。
別れ。友を守る為に自由に。誰も知らぬ幻の地で。
例え離れていても、絆や友情はずっと。
またいつの日か再会するその日まで。
皆が共存出来る日は、必ずやって来るーーー。
近大さんのお気に入りの映画だったんですね。
熱いレビュー、胸を打ちます。
私も知人に勧められてみたのですが、この完結編は本当に
素晴らしいですね。
興奮と感動をありがとう、そう思いました。
共感ありがとうございます。