「過去作のあらすじもついている、これだけでもOK」ヒックとドラゴン 聖地への冒険 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
過去作のあらすじもついている、これだけでもOK
亡き父を継いで、ドラゴンライダーのバイキングのリーダーとなったヒック。
彼らがドラゴンたちと暮らすバーク島は、救助保護してきたドラゴンたちで過密状態だった。
そんな中、周囲の海ではドラゴンハンターが横行していた。
密猟されるドラゴンたちを救ってきたヒックたちだったが、彼らの前に、最強のドラゴンスレイヤーが現れる。
ヒックは、かつて亡き父が、海の向こう、巨大な滝の先に、ドラゴンたちが生まれる島があるといっていたことを思い出し、新天地に旅立つことを決意する・・・
といったところからはじまる物語で、ヒックと相棒のドラゴン・トゥースを軸に先のような物語が展開するのだけれど、この映画はシリーズ3作目。
日本では、1作目は特定のシネコンチェーンで公開されたが、2作目は劇場未公開。
その後、本国でテレビシリーズ化され、テレビ版も含めて、DVDリリースはされているが、全般的には知名度は低い(はず)。
なので、冒頭に、前2作のおさらいがついているので、物語にはすんなり入っていけるはず。
わたしは1作目はDVDで観ていたが、2作目は未見だったので、ふんふん、なるほど、と思いました。
さて、物語であるが、ヒックたちと悪漢たちとの対決物語にはあまり目新しいところはないが、アクションシーンはかなり迫力はある。
映画での見どころは、そんなアクションシーンよりも、ヒックの相棒トゥースが、自分と同じ種族の雌ドラゴン(ライトフューリーと名づけられる)とのエピソード。
雌ドラゴンと出逢って恋をし、浜辺で求愛のダンスをし、洋上と雷雲のなかをランデブーする。
美しい音楽を背景に、優美でかつユーモラスな動きで魅せてくれる。
この映画では、ドラゴンたちは人間の言葉はしゃべらないので、このエピソードが際立つ。
古くはディズニーの『シリー・シンフォニー』シリーズや『ファンタジア』を彷彿とさせる。
そして、もうひとつ。
少々ネタバレになるが、海の向こうにの巨大な滝つぼの中には、地球空洞説(かつてのSFではちょくちょく登場した)を彷彿とさせるドラゴンたちの世界があり、その世界はきらびやかで美しい。
このエピソードも途中まで、台詞がなく、音楽との相乗効果が活きています。
物語的には、どことなく「出エジプト記」を思い出したり、あ、動物保護なのかしらんとか思うところもあるが、動力のすべてをドラゴンの力か人力、もしくは風力に頼っているあたりのローテク・メカニカル感もおもしろく、予想以上に愉しめました。