「いくつになっても、人生はやり直せる?」ガルヴェストン 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
いくつになっても、人生はやり直せる?
「男は死に場所を求め、女は生きる希望に縋った」「この娘を守って死のうと思った。この男を信じて生きると決めた」のコピーに、まんまと誘導されたせいで、ありきたりではないラストの展開が重くのしかかってきた。ふつう、この手の逃亡劇の場合の王道ってあるじゃない?そうじゃないの?って意外性。ああ監督(もしくは作者)は、この人(役者)をこうしちゃうんだ、で、こういう後日談を用意しちゃうんだ、って思う新鮮な感情。女性監督ならではの視点もいい。演出もカメラアングルも。同じ筋書きでも男性監督ならばドンパチとカーアクションは欠かすまい。
逃避行のロードムービーかと思いきや、避暑地ガルヴェストンで身を隠すのだが、ロイにとってそこが特別な場所なのも、センチメンタルでいいなあ。ロッキーと出会って、何か忘れていたものが目覚めた感がある。本人は気付かずとも。
それまで殺したり壊したりする生き方をしてきたロイが守るものを見つけ、それまで騙され惨めな生き方をしてきたロッキーが信じられる人に巡りあえ、二人ともその短い時間は幸せを感じれたことだろう。だけど、二人がその境遇でなかったら、味わえない、味わう必要もない幸せなのだと思うと、それはまた気持ちは複雑になってくる。
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