「「待ってる瞬間」が多い。」ジョン・ウィック パラベラム maruさんの映画レビュー(感想・評価)
「待ってる瞬間」が多い。
最初の大男との立ち回り、図書館でのアクションが、もっさりしてる。どちらも攻撃を「待ってる瞬間」がある。
ウィックに処分の発令が出て、バイクで追いかける殺し屋は、なぜ不用意に近づいてナイフを使うのか。ショーウィンドウ内にあるナイフを使う格闘シーンでは、片手の投擲したナイフと、両手でふりかぶって投げた斧が、同じくらいの深さで頭蓋骨に刺さってたりだとか。
砂漠の街の狭い路地で、ウィックの前に仁王立ちしてナイフで挑むシーンでは(そういうスタイルの殺し屋?…ウィックの所在地がスグわかるような情報ネットワークを持っているのに…ナイフで原始的にいくの?…すごい強いのに?)と思っていたら格闘が始まったら、その砂漠にいる同業者がウィックを助けるんだけど、その助け方が銃で一発とか。(いや銃あるんかい)と思ってしまった。
ソフィアと偉い人に会いに行く前に受けるボディチェックも、犬調べないし。そこでの格闘シーンも拳が来るのがわかっているから「待ってる瞬間」が感じられてしまう。格闘の達人が「予測してガードする」風には見えない。モブキャラ役の人は、犬に襲われてるのにバンザイしてたり、砂漠の格闘シーンは、ゲームのキャラクターが画面で動いているように思えた。
駅から出てジョンがバイクを奪って逃走するとき、追手の日本人(?)役が、落ちてるヘルメットをわざわざかぶるシーンは、冷めた。日本のドラマで逃げる犯人がシートベルト締めるような。
CG処理やスタントの関係でメットを被せたんだと思うけど、随所に不自然さが見えて没入できなかった。
砂漠に行ったりガラスの部屋で戦ったりセットが凝ってたり、世界観を広げたい思いは垣間見えたが、全体的な統一感はなくなっている。
ホテルの支配人のガラスの部屋での格闘は(ガラス割りたいから蹴っ飛ばしてる?)と思わざる得ないほど、不自然なほどにガラスが割れてた。ガラスを綺麗に割れるように吹っ飛んでる。
吹っ飛ぶ→ガラス割れる、ではなく、ガラス割りたい→吹っ飛ぶ、そんなアクションに見えた。
1に比べるとだいぶ劣る。キアヌも痩せてほしい。ただ、次回作があるとすればおもしろそう。もっとアクションに精通した人間を入れてほしいと思う。
殺陣が遅い。カメラワークの工夫でどうにかなったかもしれないが、おそらく「殺陣の動き」を見せたいがために引き気味で撮影している感じがする。ウィックの動きではなく、キアヌの動きを見せたい感じがした。
「ウィックの動き」なら、カメラ割りで編集で分割で『そう動いているように見せれば』いい。
しかし、キアヌの動きを見せたいがために、画は引き気味になり、少々ぽっちゃりぎみだし、やはり人間の動きを越えず、伝説の殺し屋感が薄くなってしまった。
次回作には大期待している。