新聞記者のレビュー・感想・評価
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観ている間ずっと胸糞だった。百聞は一見にしかず
タイトル通り、観ている間ずっと胸糞だった。 普段自分が信じているものこそ、疑え、自分のことすら疑わねばならない。 劇中で『誰よりも自分を信じ、疑え』という言葉が出てくるが、これがストーリーの真意を突いていると言えるのではないか。 そんな考えを起こさせた作品だった。 まず、この作品をここまで作り上げてくれた監督、スタッフ、俳優陣に感謝と賞賛を送りたい。 ここ近年でこういった政治問題をサスペンススリラーでエンタメ化して、国内で取り上げた尖った作品がなかっただけに、これは国内でこのジャンルのパイオニアになるのではないかと考える。 同調圧力や忖度がはびこる中、一石を投じた作品だと言えよう。 内容もまさに、手に汗握る。 よく練られていて飽きない構成だった。 ただ、土曜の昼の部で見たが、鑑賞者は年配者が多い印象。自分は20代後半だが、同じ年代の人は自分含めて5人くらいしか見当たらなかった。 メディアは何故、この映画の宣伝を大々的に行わないのか。 松坂桃李主演だし、デイアンドナイトの藤井直人監督がメガホンをとり、山田洋次監督がコメント出している。口コミの盛り上がりもすごい。 それだけ注目されている映画なのに、メディアが静かなのは、『忖度かなぁ〜?それともどこかからの報道規制かな〜??圧力かな〜???』 なんて考えてしまう、今のメディアに対しても良い皮肉になる映画だった。 若い人こそ、観て。
作品を楽しむのではなく何を感じ取ったのか
基本映画を見る時の感想の基準は面白かったかそうではないか。その2択がざっくりとした私にとっての映画の感想です。だけど新聞記者はそのどちらでもなかった。一言で言うとすごく難しかったです。きっと作品で楽しんでいる人はその方はすごく頭のキレる人か政治やジャーナリズムに対して関心が強い人だと思います。私はそこまで政治にも詳しくなければ情報社会と言ってもSNSを少しかじる程度の人間です。でもだからこそそう言った社会に関わってない人が見るべきものじゃないのかと思いもありました。何が嘘で何が本当の情報なのか?本当に真実を伝える事が正しいのか?嘘で固められた世界が本当に私達が求めている民主主義であるのか?きっとこの作品を通して今を生きているみんなに伝えたいメッセージなんじゃないだろうと考えてしまいます。最後に松坂桃李さんが放った言葉は一体何だったのか。その言葉が何だったのか重要じゃなくて何を伝えようとしたのかこちらの受け止めた感情こそが重要に感じます。
静かにロングラン
しているとか 印象としては、もっとサスペンス的かと思いきや・・・・ 暗いままで話が進んでいき期待をあおるが、 正義は勝つような設定がほしかった でも、高級公務員さんはいつどんな仕事をしているのかな?
マスコミの恥ずかしい勘違いがわかる一作
このフィクションの大前提になっている、「医療系大学の新設」の認可先がなぜか文科省ではなく内閣府になっている点。ここが現実ではあり得ないのだが、そこをマスコミが勘違いしていることが加計問題で無駄に騒いでいる元凶なんだとわかる点では有用な作品。最近では毎日新聞が同じような構図と勘違いして一面トップで内閣府の委員を糾弾するフェイクニュースを流したことが有名。
勇気ある作品
監督も俳優もスタッフもこんな作品を作り発表する勇気に感謝。その勇気にこたえる唯一の方法はみんなで見に行くことです。実写交じりで、ああ こんな仕事を押し付けられている官僚がいるのか。空しいだろうな。
新聞記者のレビューを見て
この映画はたくさんの人に見て欲しい。今の世の中の現状を可視化している。レビューの中でこの映画を見せたくない人がいるというのも映画を見ればわかります。
久しぶりに見入った私
今頃の映画はあまり重たい映画がない。この映画はいろいろ考えさせられたり、とてもよかったです。どうして松山の映画館では上映しないのでしょう。私は松坂桃李のファンなので内子町から今治新都市まで見に行きましたが、お客さんはいっぱいでしたよ。映画が終わり電気がつくまで、誰一人席を立ちませんでした。コーヒーを買ってるときに隣にいたおじさんが、参議院選挙の前に始まったので、この映画を上映しないように映画館が忖度したとか、政府から待ったがかかったとか言ってました。確かに今までニュースでみたことが題材になってました。でも久しぶりに面白い映画でした。いろいろなところで上映すればいいのにね。
最後が切ない
ラストシーンは唐突に。 しかも え!?という感じですが それは見る側に委ねられているのでしょう。 人はその命をかけてでもやるべきことがあると感じたとき、どうするか。 それはやらないという選択肢はもはやない。 これはフィクションではない、現実味を帯びた話であることは間違いない。
疑え
スリリングな話ではあった。
社会派サスペンスとかに分類されるのだろうか?よく映画化したな、できたなとその功績を称えたいと思う。
必要な情報は全て映画の中で語られ、物語の枠組みがしっかりしてる印象。
「権力の監視者」って立場のジャーナリズムだとか、SNSを駆使し印象操作を計る内閣情報調査室や、その成り立ちだとか。
嘘か真か分からないけれど、それぞれしっかりとした輪郭を感じられた。
なかなかに興味深い世界観であり、楽しめた。
のだけれど…
後一歩、踏み込めなかったか?
踏み込めない事情もあるのだろう…その辺りの事情も本編から読み取れたりはする。
「マスゴミ」なんて言葉が出来るくらい信用度の低いマスメディア。ジャーナリズムとはまた別の括りなのかもしれないが、我国では同列に成り果ててるような気もしなくはない。
このジャーナリズムの無力化は、権力側の情報操作の成果であるのかもしれないって話が前提としてある。
で、まぁ、実際にあったレイプ事件をベースにしたエピソードなんかも盛り込まれ、焦点は大学設立を隠れ蓑に建設される戦争兵器の研究機関を政府主導で計画され、時の首相が懇意にしてる業者に多額の血税が流れ込むって話になる。
それを白日の下に晒す記者の視点。
映画だから仕方がないのだが…ジャーナリズムが語るのは正義ではない。極論、真実でもない。事実なのだと思うのだ。
その事実が歪められていたのなら、歪められていたという事実を語るものなのだと思う。
ちょいと話しが逸れたのだけど、この観点から作品を観るとちょいと違う楽しさもある。
作品の中では「事実を追求できる限界」なんてのも描かれていて、レイプ事件などは結局ウヤムヤにされる。
そしてそれが異常であるという認識が僕らにはない。よりセンセーショナルな議題が浮上した時、埋もれていってしまう。
永遠に上書きされ続けていくのである。
だが、当事者達の戦いは続く。
その話がまた表舞台に出てくる事はあるのだろうか?むしろ引きずり出すのが仕事じゃないのだろうか?
だけれども、この記者達も諦める。
おそらくそれに疑問を抱く人もいないと思う。「そおいうもんでしょ」と頷くのだろう。
大学の話とかは、もう権力側が悪としか描かれない。映画だから仕方がないのだけれど。
だけれども、綺麗事だけで世の中は出来てない。それがまかり通る程、人間は賢くないと思ってる。
「なぜ戦争兵器を開発せねばならぬのか?」私腹を肥やす為だけなら糾弾もするべきだろう。でもそこへのアンサーはない。だから観客は思う、なんて横暴なんだ、と。
これがマスメディアと民衆の縮図でもあって…発信者の思惑に誘導されている。つまりは、体良くあしらわれているのだ。
そんな事を考えながら見てると、この作品の記者達は果敢に権力に挑みながらも結局は無力であったりする現状を描いているようにも思う。
プライバシーを人質に取られ、家族を人質に取られ、生活を人質に取られてる。
それらを無視しジャーナリズムと心中できるような人間はいるのだろうか?
「権力の監視者」なんてのは、もっともらしい幻想に思える。
内閣情報調査室の室長は言う。
「決めるのお前じゃない。民衆だ。」
その通りだと思う。
だが問題は、その決定権を持ってる民衆が「まぁ、どっちでもいいんじゃない?勝手にやっといてよ。」と我関せずな点だろう。
今も闇営業とかでメディアは賑わってる。
やはり民衆なんてチョロいなぁと思う。
そんな事よりも、ニュースの片隅にあったけれども参院選挙の真っ只中で、とある学園の園長夫妻と実の息子が、「恥さらし!」だとか「裏切り者!」だとか罵り合ってたって記事があった。
同じスキャンダルを追うならこっちの方が断然掘り下げ甲斐があると思うのだけど、そちらを向いてる報道機関は居ない印象。
マスメディアがひれ伏してるのは、金と権力で、そこに所属しているジャーナリストは、もはやジャーナリズムを語るペンさえ取り上げられてるのと変わらない。
餌を与え続けられてる犬は、牙を研ぐ必要性がなくなるのと同意である。
ただ、問題提起をする上で先駆者達である事は揺るぎない役割だとは思った。
だが、追随する人々がいなければ、いくら鋭い刃先であろうと容易に折れる。
そして、余談ではあるが、正義感なんてものを振りかざすのは論外なのである。
正義なんてのは立場によってコロコロ変わる。もっと言えば個人の主観なのだ。
道徳観はある程度の共通認識はありはするものの、文化が違えば観念ごと変わる。
正義も道徳も普遍のものではない。統率する為に準備された鎖のようなもので、とても優秀なシステムだと思う。
だからこそ、そんなものをベースにジャーナリズムを積み上げてはいけないのだと思う。
それは、さておき。
作品的には終始スリリングな展開で、女性記者の焦燥感が印象的で、窒息寸前のジャーナリズムを表現しているようでもあった。
▪️追記
あれこれ皆様のレビューを拝見し、色んな意見を読めた事に意義を感じる。
ラストカットに関するものも多くて、考えてみた。
松坂氏の口は「ごめん」と動いたように俺には見えた。それに返答する記者。何か発しようとした刹那に画面はブラックアウト。エンドロールが始まる。
何というか、彼女が何を言ったかは問題ではなく、彼女の声は届かない、もしくは掻き消されるって暗喩のように思えた。
松坂氏の役所は官僚ではあるものの、情報提供者でもあり、新聞記者以外の国民でもある。
そんな彼は何らかの圧力により口を噤む。
その者達へ、なのか、記者自体の発言なのかはわからないんだけど、何せ彼女が音を発しようとした瞬間にブラックアウト。
彼女の声は聞けずじまいだ。
映画として映像に残らないという事は記録にも記憶にも残らない。
つまりは、編集という外的な力によって遮断される。現代におけるジャーナリズムの立ち位置というか、無力さにも通ずるのかもしれない。
…深読みかなとも思うのだけど、ラストカットは、そんなメッセージなのかと思えた。
観るべき映画
京アニ事件、選挙報道、吉本騒動、色々と歯車が狂っているように見える昨今の日本の状況、メディアの状況。そんな今だからこそ見て欲しい、いや見なくてはいけない映画なのではないでしょうか? もしここに描かれていることが本当なのなら、この国はもうダメだ・・・。
“今”でなく、いつ観ても普遍的な面白さのある政治サスペンス映画。
政治サスペンス映画としてふつうにとても面白かった! 安倍内閣のキナ臭さが何かと話題にされる参院選の時期に公開された映画として、「今、観られるべき映画!」なんて言われたりもしている作品だけど、そういうタイムリー性で観られるよりも、普遍的な社会派サスペンスのハードなやつとして観られても良い作品だと思う。 役者陣が良かったねー!田中哲司が江守徹に見えてくる貫禄の悪役ぶりにシビレた。 松坂桃李は「ラストのあの感じ」がすっごく良かったし、シム・ウンギョンのキャスティングにもすっごく納得感があった。「日本のいびつさを、ちょっとだけ外れた目線から見る」という立ち位置で、観客にとって良いガイド役になってたような気がする。女優としても確かな力量を感じた。高橋和也も良かったなぁ。 藤井道人監督作品としては、僕は『光と血』以来なんだけど、その時に良いなと思った「色彩と光の観心地の渋カッコ良さ」は本作でも健在だった。全体的に“薄スモーキー”な色合いというか。逆光の表現も好きなところ。 クライマックスで、主人公たちは大きな決断をし、ある行動を起こす。物語的にはテンションがアガるはずの場面なんだけど、僕は不安で怖かった。それはラストの展開を予感したわけではないし、劇伴や演出がそう感じさせるものだったのかもしれないけど、なんだか「行け!やったれ!!」というよりも「ヤバイヤバイ、大丈夫なの?やめといた方がいいんじゃないの?」っていう気分にさせられた。怖がりながら、「ああ、この怖さって日本人的な恐怖感だな」って思いながら怖がってた。 ラストはね、怒りも恐怖も、悲しみもないよ。仕方がないんだ。強い弱いではなく、人が何かと戦おうとするとき、良くも悪くもそれを止めるのは、家族の存在なんだよね。
最後が心苦しくて切ない…
実話を元にした作品との事で観に行きました。
ストーリーは淡々としていてドキュメンタリー調で進んでいき、分かりやすくて面白かったです。
個人で大きな組織を相手に立ち向かおうとする吉岡と杉原の2人の姿に感動しました。
せっかく面白い映画なのに、テレビや新聞であまり宣伝されていないのが残念です。
最後に自殺しそうな絶望的な目で杉原が吉岡に放った一言…
名前を…(出して)
もしくは、
(これ以上戦ったら)だめだよ…
かな〜と思っていますが、解釈が難しいですね…
杉原がどんな選択をしても今後不幸になる事が想像できて心苦しいラストシーンでした…
やっと観ることができました
頭をフラットにして観たからか、各々の人物の立ち位置を理解するのに時間がかかりましたが、どんどん引き込まれました。
子を持つ親として、父親としてどうありたいか、という問いかけに涙が出ました。私もかつて、その問いを自分に投げたことがあったことを思い出しました。人としてどうあるべきか、どうありたいか。常に自分に問うていかなければ。しかし人は迷う。そして弱い。だからこそ、常に奮い立たせる何かが必要だ。でなければ立ち向かっていかれない。この映画を観て、自分の生き方を問い直したい。そしてこの映画を作った全ての方々に敬意を評したい。
現政権の闇を暴く勇気ある映画だ!
先ず、現政権を批判するような映画に・・・干されるかもしれないのに勇気をもって出演した松坂桃李を絶賛したい! 映画としてみれば主演女優の帰国子女という設定に少し無理があったように思う。日本の女優の方が感情移入できたと思うが日本の女優はことごとくオファーを断ったという現実がこの映画のリアルさを浮き彫りにしている。 現政権を批判するような映画を絶賛したが・・・もし批判するコメントが沢山来れば一層この映画が真実という証明になってくる。
素晴らしい作品
素晴らしい作品です。 気づいたら上映が終わっているほど、映画に引き込まれていました。 今の日本で起きている政治権力の闇と怖さがリアルに伝わってきます。久しぶりに見応えのある作品でした! 主演二人の演技も素晴らしいです。思わず何回かもらい泣きしてしまいました。松坂桃李、素晴らしい俳優ですね。 巷の”顔”にしか魅力がない、演技がドヘタで哲学もなにもないような頭ぱっぱらーの所謂イケメン俳優とは訳が違います。 これからの日本を背負ってくれるであろう素晴らしい俳優さんですね。 最後に、この時期にこの作品を制作・放映してくださったこと、 その勇気に心から敬意を表します。監督、俳優陣、制作・放映に携わってくださった全ての方に心より感謝申し上げます。
エンタメとして観ればそれなりに…
エンタメとして観ればそれなりに楽しめるかなと。 ジャーナリストは善で国家は悪という描き方で、良くも悪くもジャーナリズムって何だろねと考えさせられる物語でした。 あと、緊張感を出したいのか知らんけど画角狭めの構図と顔面アップが多くて観てて疲れました。
ぞっとした
どんどん引き込まれていくくらい怖い映画だった。 普段自分は何を信じてきたのか、これから何を信じていけばよいのか不安になった。 現実との境目もわからなくなる部分も多々あった。 細かい点で疑問に思ってしまうシーンもあったが、全体としてよく考えさせられる内容だった。
思ってた以上に社会派でした
話題になっているので、とても観たかった。…のに、地元では、シネコンでの上映がなく、コミュニティシネマという39席しかない映画館でのみ上映。当然、毎回、売切れ。そのため、観られなかったこともありました。おかげで、今朝は、朝からチケット買いに行く羽目に…。一般料金ながら、シネコンのような立派な施設ではないし、前に大きな男の人がいて視界を遮るし、イライラしながらの上映開始でした。 でも、気になったのも最初だけ。すぐに、作品に引き込まれていきました。思っていた以上に、社会派の作品でした。 本当に、政府には、こんな情報操作する部署があるんだろうか?確かに、最近の日本のニュース番組は、どれも同じ方向を向いていて、反対意見を言えない雰囲気もあり、怖いと思うことはあるけれど…。松坂桃李くんに、子供が生まれたと報告してないのに、お祝いを差し出したシーンとか、とてつもなく恐ろしかった。こんな風に、個人情報を探られ、晒されるのだろうか。最終的に、松坂桃李くんは、子供のこととか考えて、貝になる決心をしたんだろうなぁ…。だから、彼女に、ごめんって言ったんだよね。どの映画でも、守るもの(家族)ができると、人は弱くなる。この後、彼女は、どうなったんだろう。 彼女と言えば…。やはり、日本人キャストが良かった。とても、ステキな女優さんだというのは分かりますが、日本と韓国のハーフで、アメリカ育ち?そんな無理な設定にするなら、日本人キャスト起用しましょうよ…。起用できなかったのか、しなかったのか分かりませんが、言葉、動き、流暢でなかったのが気になりました。
鑑賞記録
7月21日鑑賞。公開から約1ヶ月、しかも早朝回にも関わらず、そこそこの入り。
◯主演2人の熱演
我らが殿、松坂桃李は見てるだけで幸せになれるイケメンに違いないのだけれども、今回みたいな決してパーフェクトではない、人間臭い役が本当に上手いと思う(『彼女がその名を知らない鳥たち』の熱演も良かった)。無力さに涙し、一念発起して頑張るけど…スカッとした結末にならないのは、それが「現実味」なのかしら。ラスト付近で見せる「死んだ魚の目」は、この令和になってNo. 1の魂抜けっぷりでした。
『サニー永遠の仲間たち』で(自分にとって)お馴染みのシム・ウンギョンも、片言の日本語ながら表情、仕草など一級品の芝居を見せてくれた。泣きのシーンとか、凄すぎて笑ってしまいそうになりましたもの。
・我々観客が拾うべきもの
現代日本を生きる我々にとって記憶に新しい政治トピックがてんこ盛り状態の物語世界。原作者の望月さんとか加計問題でお馴染みの前川さんもカメオ出演してきて現実と虚構の世界の境界がハッキリとしない状態に。これに関しては、ごめんなさい、ノイズに感じてしまいました。アオイホノオの最終話に島本先生が出るのとは訳が違うと思うのです。明確な思想・メッセージを含む物語であるならば、せめて望月さんだけでも一歩引いていてほしかった…と思うのは、「出る杭は打たれる」的日本人の悪習でしょうか。僕たちは杉原と吉岡の葛藤で十分考えさせられてますから!
苦言めいたことを言ってしまいましたが、映画としての見せ所、面白さはなかなかだったと思います。新聞社と内調でのカメラワークと照明による空気感の違いの演出(新聞社はちょっと酔いそうになったけど)、娘を抱く姿勢と暖かな照明によって演出された本田翼の聖母感、緊張感を高める無音。テレビではできない、映画だからこそできる演出であったと思います。
圧力に屈することなく、事実を世に広めた吉岡。かたや、大義を果たそうとするも心折られた杉原。妻と娘とのささやかな幸せを、先輩の果たせなかった無念と天秤にかけてしまったのかなと思います。そしてそれを手放すことはできなかった。これを頭ごなしに批判できる人はいるのでしょうか。
巨大な力が小さな幸せを人質に取るような卑劣な行いを憎むべきであり、そのような不条理に対して、1人ではなく、力を合わせて向かっていく仲間が必要なのだと感じました。
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