「新聞社の役割」新聞記者 ミカエルさんの映画レビュー(感想・評価)
新聞社の役割
この映画を観たのはイオンシネマというところだったが、ここはかつてワーナーマイカルシネマと呼ばれていた。2013年にワーナーマイカルグループが資本を撤退したことにより、現社名になったという。もちろんワーナーブラザースという映画会社は存続するが、映画ファンにとって馴染みの深いワーナーという名前が消えたのは寂しい感じがする。
権力は必ず腐敗する、それを監視するのが新聞社の役割であるとすれば、新聞記者は権力におもねることなく事実を追求することを使命とする。若手女性新聞記者は、記者クラブでは厄介者扱いされ、社内では異端視されているが、これは新聞記者としての本分を果たしているからである。母が韓国人でアメリカ育ちなので、日本的風土に染まることなく、我が道を貫いていることが自然体として納得がいく。
「この国の民主主義は形だけでいい」という内調室幹部のラストの言葉がある。いくら国民主権が声高に叫ばれ、草の根運動が盛んに繰り広げられても、伝統的にお上が強いこの国では、結局、現代においても政権によって世論操作され続けているだけなのだという真実を物語っている。われわれはマスメディアが流す情報を鵜呑みにするのではなく、常に疑問を投げかける姿勢で社会に対峙していくほかあるまい。それには自分自身が物事に通暁して、真実を見抜く目を養っていくことが重要だ。
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