「正義を貫くか」新聞記者 panpan00さんの映画レビュー(感想・評価)
正義を貫くか
日本アカデミー賞最優秀作品賞と2人の最優秀主演賞を取った話題作なので、鑑賞。
松坂桃李演じる外務省官僚の杉原は内閣調査室に出向しているエリート。身篭った妻がいて、暮らしぶりは良さそうだ。
シムウンギョン演じる吉岡は毎朝新聞に勤める記者で正義感が強い。吉岡の父もまた記者であったが自殺している。序盤、日本語のイントネーションがおかしいので疑問に感じてたが、母親が韓国人で就職するまでアメリカで暮らしてた設定なので本編で解消した。
話はシンプル。ある時、毎朝新聞に匿名で資料が届く。差出人は杉原の元上司となる神崎で、資料の内容は政府がウィルス研究の為の大学を創設するというもの。その後、神崎は投身自殺する。神崎の死を無駄にしたくない杉原と、資料を調査している吉岡が結びつき、政府の大学創設の目的がウィルス研究ではなく、軍事転用であることを暴く。吉岡の毎朝新聞はこれを一面で報じるが、当然政府は反対する。記者にとって誤報は命取りとなる。政府が反対したら実名を出して構わないと言っていた杉原だが、許可を取りに来た吉岡と道路を挟んで対面し何かを言って物語は終わる。
最後、なんと言ったのか?
自身の生活を守るのか?、それとも国を守るのか?(その為には情報をコントロールすることもある)
杉原は妻が出産し子供を抱くと思わず「ゴメン」と呟いた。自分が政府の悪事を暴くことで被られる不利益によって、家族が不幸になることが分かっているからだ。最後に上司から「取り消すことは恥ずかしいことではない」と告げられ(台詞は正確ではなく、こんなことを言ってた)、今なら自身の生活を守ることが出来る。葛藤した杉原はどちらを選択したのだろうか?口の動きは「ゴメン」とは言ってなかった。しかし、なんと言っていたかは分からない。
その他感想は以下。
杉原の葛藤は、あれだけ正義を貫こうとしていたにもかかわらず、上司と接して迷うなんて優柔不断過ぎでは?ちょっと共感出来ないなぁ、、葛藤を描きたいならもっと苦悩して欲しいし時間を掛けて欲しい。だから⭐の数は4が限界。
シムウンギョンの演技は良かったと思う。最優秀主演女優賞を韓国人が取ったことで非常に気になってたけど、素晴らしいと思った。
報道番組が度々流れるんだけど背景が新聞なので、ダサいと思った。これで視聴率を取れるのか?
吉岡と杉原の話が展開していき、中盤で出会って話が進んでいくところは、村上春樹ぽさ(海辺のカフカや1984)を感じた。
杉原の職場の明かりの少なさ。あれでは目が悪くなる。DELLが目立つ。パソコンでTwitterをしている。内閣調査室の人達がTwitterで情報操作してる。こんな地味な活動してるの?
毎朝新聞社のオフィスがリアルなので、作り物だとしたら制作スタッフも結構大変だなぁと感じた。
新聞を印刷して投函するまでの映像は必要なかったかな。全自動で出来るのは凄いとは思ったけども、時間の無駄かなと思う。