「信じ疑う」新聞記者 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
信じ疑う
映画の話題性は置いといて、特筆すべきは主演のシム・ウンギョンの演技力。配役との一体感、実存感が抜きんでている。冒頭の出勤したシーンでの動きに目が奪われて、思わず身を乗り出して彼女の表情を映画が終わるまで追いかけてしまった。
最近の現実の出来事をモチーフにしたような話の数々。ここまでの政治的主張を国政選挙中に見れることがこの国では稀有なことかもしれない。平日の日中にもかかわらず客席は満員。メッセージを叩きつけるのは、映画の役割。その意気上等。
社会と組織と個人の関係を問う。「辞めればいいのに」...しかし辞めれば、後に復活する望みを絶っているのは日本組織。それを良しとしているのはひと握りの個人ではなく多くの日本人だったりする。個人も社会も組織の論理を忖度し、閉塞感を安定と誤解する。最後は個人の意思。ラストシーンは観衆に投げかけてくる。
疑うという点で言うと、そんな研究をしようとするならば、大学院大学ではなく研究所だと思うし、民間委託は少し考えにくい。いくつかの事例を混ぜ合わせたような話ではあるが、現実味が薄れて、攻めた前半に対して後半は話自体が少し推進力を失ったように感じた。もう少し脚本に工夫が欲しかった所。
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