人間失格 太宰治と3人の女たちのレビュー・感想・評価
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画が綺麗なだけの作品と思ったら違った
監督が蜷川実花だから、また画が綺麗なだけの映画だと思ったの。そしたら違った。
前半は画が綺麗なだけなの。でも本当に綺麗だから「画とBGMだけで観たい!」とか「ビジュアルブック出してくれ買うから!」と思ってたの。
でも小栗旬の才能あるダメ人間ブリがはまってて上手いし、ちょっと面白いかなと思った辺りで『書いて下さい。《人間失格》』がくるのね。
ここが全然駄目で冷めた。ここまでの話から浮いてんだよね。突然くる感じで「作り手はこのシーンだけは絶対にやりたかったから、話の流れ無視して入れたんだな」って感じなの。
そして、そうまでして入れたシーンで、気持ちが高ぶっていくところが祭囃子なのね。いまどき、テンション上がったーって示すのに、祭囃子はなあって、ちょっとヒイた。心象風景描写で紅い風車が一斉に回るのもあったけど、ここもヒイた。
そのシーンが終わったら、通常モードに戻ってね、ここからは面白いの。
三人の女が太宰の【才能】とどう付き合うかって話になんのね。
蜷川実花は写真家である種の天才だから【才能】のことは良く解るんだろうと思ったね。と、そこまで考えて、映画製作に関わってる人は、【才能】を日常的に目にしてるだろうから、スタッフもみんな良く解るんだ。俳優も。
三人三様を観てて「正妻って強いな」って思った。太宰がメチャクチャやったって、結局最後は正妻のとこに戻るもんね。
あと、みんな結局、太宰の【才能】が好きなんであって、太宰が好きなわけじゃないんだろうな。そりゃ太宰も『死んでやる』みたいになっちゃうよね。
全編通じて画は予想通り綺麗。ヴェンダースとためはれる作品じゃないかと思ったもん。
三人の女に赤・青・緑とテーマカラーがあるのも解りやすくていい。一つ一つのカットがいちいち綺麗で、さすがニナミカ、木村伊兵衛賞受賞者と思ったよ。
左利きの太宰治が象徴するデフォルメ世界
自死する38歳の太宰治を演じる小栗旬も同世代(36歳)ではあるものの、こんなヤサオトコでいいのだろうか。これは太宰治ではなく、やっぱり小栗旬だ。
執筆シーンで左利きのまま、太宰治を演じてしまうのが気になって仕方ない(太宰は右利き)。しかしこれが確信犯で、実話ベースだけどフィクションであることを象徴している。
小説「人間失格」の映像化ではなく、「人間失格」を地で行く太宰治の晩年の生き様をかなりデフォルメしている。太宰治を取り巻く3人の女性(正妻と愛人)を、宮沢りえ(46歳)、沢尻エリカ(33歳)、二階堂ふみ(24歳)という各世代の主演級が演じるのはじつに豪華だし、それぞれがオーラを放ってぶつかり合う。
いちばん若いはずの二階堂ふみが、キャリアの長い2人に負けていないのが凄い。もちろんこれまでの出演作を見てくれば納得なのだが、同世代の女優でこれだけの濡れ場を堂々と演じられるひとはいない(そもそもそんな役が回ってこない)。
現実にも太宰治の妻たちは美人ばかりで、太宰は酒・オンナ・薬にだらしないクソ野郎だった反面、愛し愛され、破滅的だった"精神性"を、蜷川実花監督の世界観で表現している。
これまでの激しい色彩は本作では抑えめだが、別のやり方でその個性はしっかりと主張されている。いつも感心するのは、むしろ蜷川実花の要求に応えるスタッフ側の努力。歌舞伎の屋台崩しのようなセットで、太宰治の書斎を表現するシーンが印象的だ。
太宰治を肯定的に表現すると、"自殺"を美化してしまうことになるので危険だ。ほとんどの成熟した観客は心配ないが、意気がる若者が感化されないとも限らない。良くも悪くも、小栗旬の太宰像は美しすぎる。
(2019/9/14/TOHOシネマズ日本橋/ビスタ)
「ケンジさ~~ん」
『人間失格』を未読な自分が、太宰治をどれだけ理解しているかは甚だ疑わしい。確か『富嶽百景』は読んだことはある。『走れメロス』は有名だ。『パンドラの匣』は映画で観たが原作そのものではないだろう。しかし、かの作家のスキャンダラスな逸話ばかりは先行して情報が湧いて出る。現代では決して褒められることがない、死も又センセーショナルなアンチヒーロー振りを戦中戦後の短い期間でそれこそ『演じて見せた』クリエイターの毒々しい派手さを切り取ったものが今作品である。蜷川実花の監督ということで、かなり好みそうな題材であろうことは想像に難くない。作中にも多分、太宰の作品のオマージュが散りばめていると思うのだが、前述の通り、読破はしていないので未確認である。幾つかのシーンは大林宣彦的な視覚演出やVFXも施されていて、そもそもが写真家である監督の色彩感覚、構図の思考みたいなものを存分に駆使したことは素直に評価に値できる。
それにも増して、演じる俳優陣の豪華さは、流石蜷川幸雄の遺産とでもいうべき、舞台で引っ張り上げられたイケメン俳優陣を贅沢に投入させたキャスティング力により、強引も又映画制作に於いて重要なファクターなのだと理解させられる程、目を見張らせるものである。そしてその次世代のイケメン俳優も又、惜しげもなく共演させる様は、まるで父親の跡取りとして仕事を引き継ぐが如く、“俳優を育成する”という使命を受け継いだようにもみえた。いつまでも青春映画、女性向け作品ばかりを主戦場には出来ない筈だから、きちんと殻を破って自分を追込む事で、新たな表現を身につけろという叱咤と灰皿が飛ぶような内情だったのではないだろうかと勘ぐってしまう位の構成である。そして、女優陣も又、その私生活や“女優業”という仕事に対しての類い希なる才能と覚悟、そして天賦の才である美貌を実装しているパーフェクトな三人なので、その迫力は凄まじい程である。
さて、それぞれがその能力を遺憾なく発揮すればさぞや驚愕の内容となるかと思うのだが、やはり如何せん、そもそもの題材としての太宰治という人間のスキャンダラスさ、ピカレスクロマンばかりが先走ってしまって、退廃的な部分のみが強調されてしまう印象を受けてしまった。初めから色眼鏡で観てしまうと、そのハードルから飛び越えるのが難しい。結局予定調和というか、今まで語られてるような“太宰像”、そして糟糠の妻、それと太宰の狂気仲間である愛人達という擦り続けられた構図に始終してしまっているのである。確かにもう太宰に対しての新しい見解や、穿った見方であっても突飛でリアリティも持ち併せた解釈は、それら全て模倣かもしれない。そう思うと今作の題材や、テーマそのものに目新しさを産み出しにくいものをチョイスしたことは苦しかったかもしれない。愛する男の子供を欲しがる愛人達、もう何人も育てている本妻、それぞれの立場を群像劇のように作られている構成は、それぞれがもう少し細やかなストーリーが欲しかったと、冗長で間延びしていた後半部分を観ながら感じてしまったのは残念である。そして一番の勿体ない部分は、成田凌演じる編集者の浅さである。あのポジションは斬新であり、そしてそれに応える力量の俳優なのに少ししか生かされていない。普通の味付けに終始しているし、もっとその調味料を振れば味に深みが増す筈なのに勿体ないの一言である。
と、色々とご託を並べたが、先の青春映画の対象性別年齢に対しての新しい視点を育てるということがテーマならばそれも一考なのかも知れないと、悲観的にはみないようにしようと思った次第である。
役者さんは良かったです
名監督であるとか小栗旬以外の役者は誰が出るとか、予備知識がほぼない状態で観ました。
思いのほか豪華キャストで演技も上手い役者さんばかりで良かったです。特に宮沢りえさんは美しかったです。
ストーリー的に心に響くことはなかったです。
才能があるが弱い男が堕落していく残念な過程と、振り回される真面目に生きている家族、性描写が多めで、どうしようもない男の残念な最期で締めくくられていました。酷い男なので最期を見ても「へー」くらいの心境で
後からグッとくる映画もありますが、そこまでのこともなく。
映像の美しさは、何も知らない素人の目では気付かなかったです。
ん~…。微妙。
公開初日(9月13日)に、映画館で見た感想。
良かったところ↓
赤ちゃんかわいい。
二階堂ふみが素晴らしい。
エロい(結構衝撃)。
悪いところ↓
内容が薄い。
最後の入水自殺シーンは?って感じ。
もっと細かく入水自殺の様子を見たかった。
期待していたのと違う。
色彩豊か
太宰治と3人の女の物語。
実話と言うのだからいかに太宰治が女にだらし無く、そして優柔不断なダメ男だったかがわかる。
心中と言う名の自殺未遂や薬物中毒、終いには結核…酒タバコ女どれで太宰は命を落とすのか賭けのネタにされるほどの自堕落な生活。
色鮮やかな花に囲まれる映像はまるで写真集。
赤い彼岸花に桃色の梅畑、紫陽花の紫とブルー、藤の花の白、菖蒲の紫、真っ白な雪、ワンシーンワンシーンが綺麗。
キャストが豪華。
ちょい役だけど時の文豪、坂口安吾や三島由紀夫が登場する。2人ともピッタリ!
太宰は静子の日記見たさに関係を持ち、静子に言われるがまま子供を認知。
静子の日記を参考に書いた【斜陽】がヒットし注目を集めた。
静子から遠去かり富栄の元に転がり込んだ太宰。
富栄の一途な愛情に雁字搦めになるが、妻と娘に浮気現場を見られ妻から見放され、編集者からも人間失格と告げられた。
多額の税金の請求や静子から斜陽の共同作者としての連名出版を迫られるなど先が見えない状況。自殺願望が強い富栄と共に太宰は心中する。
遺作の【人間失格】と妻宛の遺書。
妻を1番愛していたと今更言われても…
太宰亡き後、妻は子供達と日常を過ごす。
雨上がりの空と庭の菖蒲の紫が清々しい。
3人の女は、皆それぞれの強さがある。
愛人の静子が1番ちゃっかりしていると思った。
斜陽をよんでみたくなりました。
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