「大丈夫、君は僕が好きだよ。」人間失格 太宰治と3人の女たち Miyuさんの映画レビュー(感想・評価)
大丈夫、君は僕が好きだよ。
役者が最高な作品でした。人間を失格しているのに、底知れぬ魅力を持つ太宰を完璧に演じ切った小栗旬さん。これは堕ちる、しょうがない、とまで思わせる魅力がありました。恋と名声を手に入れた静子演じる沢尻エリカさんは、あんな男に翻弄されながらも一周回ってを落ち着きを手に入れ、狂った強さを持った女性を演じていたし、とにかく可愛かった。笑妻を演じた宮沢りえさんは、芯が強くて多分誰よりも太宰と太宰の書く小説を愛していて、かっこよかった。そして今回も体当たりなシーンを演じ切った二階堂ふみさんは、やっぱり理性を崩壊させたらあの年代の女優さんの中ではぴかいちではないでしょうか。見事に堕ち切ってました。笑でもふみちゃんだけ本当に脱ぐ必要ある?ファン的にはあまり嬉しくなかった、、、
そして個人的に最も印象に残ったのは、さくら演じる成田凌さん。登場人物の中で、おそらく誰よりも常人で、かつ太宰の妻と同じくらい彼の作品を愛していたのではないでしょうか。内に渦巻いた出せない感情と、それを出してしまった時のバツの悪さのような表情、とても愛すべきキャラクターを演じていると思います。人間失格を書け、と訴えるシーン印象的です。
蜷川実花さん監督作品は、ダイナーから二作目ですが、映像の美しさを作品の良さとは感じられなかったです。明治が舞台となっているため、装束や雰囲気は現代と異なるはずですが、そこに彼女特有の原色の強い映像を使うと、時代感と映像美がどちらも中途半端に感じられて残念でした。写真で見るぶんにはとても美しいのですが。フランス語などの音楽の使い方も、おしゃれなのか寒いのか、紙一重という感じでした。