「獰猛な獣」人間失格 太宰治と3人の女たち U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
獰猛な獣
太宰は読んだ事がない。
なもので、人間失格がどういった話かも知らない。ロマンスなのかサスペンスなのかも分からない。自伝のような描き方であったけど、それが本当なのかも興味がない。
ただ…
ぶっ壊すとか捨てるってのは、ちょっと分かる。切り売りするとか。
作家がどうゆうものかは得体は知れないのだけれど、創作って部分だと頷ける箇所もある。
まぁ、なんせ、女性が強かだった。
狙いなのか何なのか。
受け入れる太宰もそうだが、肉食獣のソレに見えて仕方がない。
「人間失格」ってタイトルだけど、では人間には資格がいるのだろうかと考える。
それは、おそらく道徳だとか慣習だとか、おおよそ多数決の論理ではないのだろうかと思えてしまう。その枠組みに収まりきらなければ「ひとでなし」ってわけだ。
そういう一般論に反してきたとか、それを模倣できない葛藤があったとか…なんかそんな事が原点で「破壊」の原動力なのかとも考える。
3人の女性達は理知的な略奪者にも見える。それぞれの行動にそれぞれの正当性があるわけで、それが蛮行だという可能性すら疑わない感じだ。うん…身に染みる。
まぁ、原作を読んでないので、原作既読ならまた違う感想を抱くのだろうなぁ。
どおにも天才作家なのか狂人なのか、それを演じるにも演出するにも相当ハードルが高かったように思う。
作品自体から自信は感じるものの、その自信の根拠までは見えてこない印象だった。
相変わらず色彩は鮮やかで、浮きもせず沈みもせず抜群のセンスは健在。
もっと耽美的なイメージかと思ってたのだがそうではなかった。
3人の女性はどなたも鬼気迫る感じがあって、良かった。文壇に詳しい方は文豪達の共演にテンションが上がるのかもしれない。
うん、観るなら、原作を読んでからだなぁと、自分の勉強不足を悔いる。
U-3153さん
レビュー拝見しました。私より少しお若い方且つ文学がお好きな方と拝察しましたので老婆心ながら。
私は学生時代、劇中に出てくる作家の作は大体読んでいます。が、個人的な想いですが当時の作家の作品よりも現代の日本のみならず、グローバルで名を馳せている作家の作品を(出来れば原文で)読まれるとより良いのではないかと思います。明治の文学を今や誰も読まないのと同じように、この作品で扱われている作家の作品も同様になる気がします。
強いてお勧めするならば、劇中には出ませんが無頼派唯一の生き残り(アドルム・ブロパリンを大量摂取しながらも)の壇一雄の料理エッセイなどでしょうか(この一連の作品は
現在でも文庫で書店に並んでいます)
返信は不要です。では。