劇場公開日 2019年9月13日

  • 予告編を見る

「ああ、死ぬかと思った。」人間失格 太宰治と3人の女たち 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ああ、死ぬかと思った。

2019年9月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

と、冒頭のシーン。とんでもなくクズ野郎が、徹頭徹尾画面に出続ける。
だいたい、個人的にダザイは嫌いだ。津軽の坊ちゃんのくせに貧乏プレーのような文章を書くし、卑屈だし、いいカッコしいだし、ひねくれてるし、女々しいくせに高慢ちき。まさに、この映画に出てくるダザイそのものだ。だから喝采を送る。その通りだと。「人間は恋と革命のために生まれてきた」と言った愛人の言葉を我が物にする浅ましさ。自分の名誉のためならば女を犠牲にするのも厭わないろくでなしだ。本人はそんな気はない、というかもしれないが、それならそれで余計に始末が悪い。

だけど、病める貝殻にのみ真珠は宿る。
まさにそれに尽きちゃうんだよなあ。俺はいいわ、真珠を手にすることができなくても。

栗太郎