運び屋のレビュー・感想・評価
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最強おじいちゃん、クリント・イーストウッド
最近実話の映画化が続くクリント・イーストウッドが選んだ題材は今回も実話、「90歳の運び屋」。とはいえ彼のキャラクター自体はほぼ創作。
予告編はシリアス感が強かったが、なかなかどうしてコメディタッチでもあり。
御歳88歳のクリント・イーストウッドおじいちゃんが扮するは、仕事に夢中で、目立ちたがりで、割と軽いノリで、結構女好きで、退役軍人で、そして家庭を全く顧みない男である。娘の結婚式も行かないんだから筋金入り。
そんなおじいちゃんが(彼曰く「インターネットのせいで」)仕事に失敗して、ひょんなことから麻薬組織の運び屋になるわけだが、おじいちゃん自由過ぎる。歌は歌うし寄り道するし言うこと聞かないし。前半は完全に最強おじいちゃんのロードムービーである。おじいちゃんに振り回されながらも親しみを覚える組織のメンバー、みたいな。このままのノリでいけばヒューマン・コメディじゃねえか。と思ったが、後半で当然のように暗転する。
家族を顧みなかった男が人生終盤で家族に愛されたいと願うのは、道理ではあるがどことなく複雑である。しかも彼が家族に捧げるのは運び屋で稼いだお金。微妙っちゃ微妙だが、ブラッドリー・クーパーに説教した辺りから段々と己を悟ったような感じになるイーストウッド。展開はベタだが、「時間は金で買えない」というのには首肯せざるを得ない。そういう意味ではどことなく教育的な映画でもある。
そして娘を演じるのがクリント・イーストウッドの娘、アリソン・イーストウッド...。おそらく様々な思いを重ね合わせて撮ったであろう作品だと思う。
USA版人情話
もしかしたらクリント・イーストウッドの作品を観たのは初めてかも知れない。勿論、ダーティハリー・シリーズは知識では知っていたが、吹替えの故山田康雄氏のイメージが強すぎる印象しかない。
そんな訳でかなり癖のある俳優の演技がもしかしたら最後かもしれないとの触込みで鑑賞した。
確かに、ハリウッド的な人情話を感じる。家族を顧みない男が世情から遠離ってしまうことで命より大事な仕事から弾き出され、ダーティーな頼まれ事を金のために引き受ける内に、家族との真の邂逅に向かうという、世界中でよくある話ではある。それをハリウッド特異のウィットに富んだ味付けを塗しながら、そこそこのサスペンス要素も挟んでの仕上げとなっている。
主人公の男の狡猾さと度胸、そして年寄りの功ならではのアドバイス、しかしそこそこの社会性故の聞き分けの良さも兼ね備えている老人であり、人としての多重面を表現していることは、もしかしたら好き嫌いが出てしまう作品かも知れない。それは邦画的キャラ設定に近い要素が見えるからではないだろうか。一筋縄ではいかない主人公になかなか共感性を抱けない中での鑑賞は戸惑いも募ってしまう。とはいえ、現実もそういうものだ。幾ら家庭で頑固であっても、外面は柔軟性のある穏やかさを演じている人などdこにでもいるし、それは決して人格破綻ではない。そんな多層構造は、こういう映画でのいわゆる『神の視点』であるところの観客への表現として描かれることを、自然な演出として受け止めなければならない。そんなことを感じさせてくれる作品である。
ちなみに、朝鮮戦争帰りという、アメリカが常に強かった頃の時代の市井の人達の与えた影響を教えてくれることも大変重要な要素の一つであった。どんな人種であれ、やはり年齢を重ねた人の苦言は『良薬は口に苦し』だが、飲めばその重みに心が救われる、多くを学んだ作品であった。
想像してたものとと違ったが…
豊かな人生。
クリント・イーストウッド監督の前作「15時17分、パリ行き」ではドキュメンタリータッチで、エモーションをあまり感じなかったが、本作は、実話を元にしているにも関わらず、ドラマチックな映画になった。
仕事一筋で家庭を顧みなかったアール(クリント・イーストウッド)は、経営していた花の農場が立ち行かなくなり、荷物を運ぶ仕事に就くことになる。
この荷物が薬物であることにやがて気がつく。
アールの生きざまに、組織の人間たちも感化されていく。この魅力的な人物をクリント・イーストウッドが全身で体現している。
家庭を顧みなかった後悔はあるものの、アールの人生は豊かだったに違いない。妻や娘もそのことはわかっていたのだ。
いい映画を見せてもらった。
いつもの如く。
イーストウッド御大、高齢にも関わらず自ら主演・監督をこなし、いつもの淡々とした描写、無駄のない展開、映画なのに映像の向こうに見える人たちの何気ない存在感が凄い。
ストーリーは形こそ違えど、正にイーストウッドと同じ自分の正しい(やりたい)と思ったことを突き進み、その間違いに気づいた男の器用なようで不器用な物語。
家族の有り難み、何も無い日常の有り難み、言葉の重み、そして自分が正しいと思っても周りに取っては間違いだったことを思い知らされ、その思いが胸に刺さる。
ハリウッドには、こういう映画を作り続けてほしい。御大から次世代を託されたブラッドリークーパーもカッコいいのですが、映画のラスト近くで迷惑をかけ続けた奥様を見つめる何とも色気のある御大の眼差しはとてつもなく男前でした。
必見の映画です。
クリント・イーストウッドが魅力的!
ポークサンド
不器用な男の生き方。
時間は買えない
本作は実話をもとに、ひょんなことから麻薬の運び屋になった、孤独な老人の姿を描いています。物語は淡々と進むものの、イーストウッドのかくしゃくとした佇まいと軽妙な話術で、退屈することはありません。
主人公のアールは、最初は知らなかったとはいえ、わりと早い段階で麻薬を運ぶ犯罪に手を染めていることに気づき、なおも続けたのですから、この結末は自業自得だといえます。しかし、家族をなくしたアールにとって、麻薬組織の犯罪者ではあっても、彼らが自分を必要としてくれたのはうれしかったのかもしれません。
そんな彼が最後に家族を優先させたことは、贖罪の念もあったでしょうが、単にその時そうしたかったからだけではないかと思いました。家族を顧みることなく花を愛し、犯罪と知りつつ運び屋になり、殺される覚悟で妻を看取りと、その場その場で生きたいように生きた男アールこそ、まさにデイリリーだと感じました。失った時間は、運び屋となって稼いだ大金でも買うことはできません。
面白かったです
この映画はイーストウッドがある新聞記事に載っていた実在の事件を元に着想を得たとのことですが、自分の人生とリンクするとこが多かったのでしょう
もはや演技云々ではなく自身を曝け出すかのようなナチュラルなあり方で挑んでいます
一番買いたかったのは時間だというセリフの通り、そこには葛藤や成長といった要素はあまりなく残りの人生をどう生きるか、どのように生きるべきだったのかに焦点が当てられています
また作中で印象に残ったのはポークサンドのシーン
「人生は遊ぶことも大事だ」
「遊んでたから今運び屋なんだろ」
この会話の不可逆的などうしようもなさ感は作中で一番考えさせられました
自分が同じ歳になった時そのセリフを他者から言われることがどんなに恐ろしいことか
また捜査官達の追い詰め方には緊迫感はなくまるでじわじわ忍び寄る死神のようで、1人の老人の贖罪のためのタイムリミット的な役割だったため予告編のイメージで観ると肩透かしを食らうかもしれません
ですがこの映画の終末感から生まれる余韻は他の映画ではなかなか味わえないものだと思いました
観て良かったです
44マグナムを35カメラに替えてから
拝啓、ハリー・キャラハン様
あなたが44マグナムを35カメラに持ち替えてから、
ずいぶん経ちますが、まだまだ世界は暴力にあふれ、
平和ではありません。
僕があなたを知ったときはブルース・リーと同じように
ワルモノをバッタバッタと倒してました。
そして決めセリフの「Go ahead Make my day」
今作のgo ahead の足取りや背中の哀愁に改めてグッときてしまいました。
『グラン・トリノ』あたりからでしょうか、
映画の中のテクニックとしてオーバーラップはよくありますが、
自分の人生とのO.L.や娘さんとの共演はもはや、映画のつくりとしてフィクションでもない、ノンフィクションでもない、ドキュメンタリーでもない・・・
たまたま話しをしていたらそこにカメラがあった・・・
せっかくだから映画にしているだけ・・・・
そんなゴダールもビックリしそうな文法とか公式という型を破るという離れ業、いや適当にやっているだけと言わんばかりですね。
It's a Wonderful Life.
色即是空
空即是色
ほとんど解脱の境地でしょうか・・・。
もっともっとみせてください。
敬具
※真心ブラザーズの歌詞はいい
内田裕也さん訃報
映画職人の手練の技を堪能。
いい映画なんだけど
もう少し、スカッとするか、
どんよりした気持ちになるか、
あっても良かったかな。
別れた奥さんに付き添ってた間に、何で見つからないんだろう?とか、運び屋としての苦悩や後悔とかが無かったので、物足りなかった。
法廷で家族が心配してるのも、結局お金って見えてしまった。命を顧みず、奥さんを看取ったわけですが。
劇的にすると、グラントリノと似てるとか言われるかな、、。
私が、映画なんだから、、。
そういう終わり方を勝手に期待してしまったのが、いけなかったかもしれません。
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