運び屋のレビュー・感想・評価
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クリント・イーストウッドが見せる“人生の残照”。
イーストウッド作品らしい
滋味深い作品
辞世の句
どおにも出来すぎた話だった。
今までの作品とは一線を画すというか…異質な感じがする。
コカインの運び屋っていう、かなりセンセーショナルな主人公なわけだけども、彼を取り巻く職場環境は実に平和だ。
皆、友好的で冗談が飛び交う。
逆に家庭では最早排除されていると言っても過言ではない。
この「家庭」に帰属するっていうのが物語の結末なのだけれど…どおにも大団円すぎて。
そおいうものなのかもしれないが、妻が最大の理解者なのである。
どおしようもないこの俺の良さを発見してくれた第一人者、その俺に家族を与えてくれた立役者、のような解釈だろうか。
後半はガッツリその辺りの事が語られる。
物語は12年前から始まり、若干若いイーストウッドに特殊メークの威力に感嘆とする。
脚本も順を追って構成されていて、見やすい。展開も至極簡潔。
というか、まっしぐらだ。
齢90歳、棺桶に両足突っ込んで後は横たわるだけぐらいの爺さんが、落ちるとこまで落ちた自分を唯一必要としてくれる人がいる。
罵り合いもしたし、拒絶も拒否もした。
それでもやっぱり、命か尽きるその間際には、人生かけて「愛している」と告げたあなたの傍がいい。
なんか珍しくホームドラマ寄りな作品に拍子抜け。分母が大きい作品とでも言おうか、彼の境遇に共感する人は多いと思う。
それ故に、犯罪に加担して得た金の用途への言及はほぼない。
コカインを流通させて得た金で開かれた結婚パーティーや、卒業とか、結構わだかまりが深そうに思うんだが、アメリカはそうでもないのだろうか?
大団円にもっていく強引さが、珍しく目立ったとも言える。日本ほど世間体に頓着しないお国柄なのかもね。
それと今回はシーンの〆のカットが随分と緩かったような気がする。
引き絵だったり、風景だったり、移動してたり…そのせいなのか、若干ダレた印象がのこる。
イーストウッドの顔が、とても優しくて…いや、驚くほど柔和で印象深かった。
老いを迎え入れるな。
ラスト ラン?
込められたメッセージ
初回は孫娘の結婚式のため。
2回目で、家を取り戻し、退役軍人クラブに寄付したいという欲が出て3回目。運ぶ仕事そのものが、まさにドラッグのように、4度、5度、、、と続く。
このまま飄々と逃げ切るのか、捕まるのか、殺されるのか。どんな結末が待っているのか、一旦、気にはなるのだけど、結末よりもプロセスに魅せられる映画です。
クライマックスは、捜査官と出会う朝のコーヒーショップではないでしょうか。
作る映画には常にメッセージを込めてきた監督の、独白のようなものが、その会話を通じて伝わります。
「100歳まで生きたがるのは99歳まで生きた者だけだ。」
88歳で傑作を生む監督には、90歳になっても作ってもらいたいです。
間違いない名優達による間違いない映画
90歳近いヨボヨボの老人が主役の映画。
日本ならまず考えられません。
アクションスターだったその老人が監督までやっちゃうんですから。
でもその彼の一挙手一投足に目がいく。
ヨボヨボ歩く姿が心にしみる。
ブラッドリー・クーパーとの何気ない会話が素晴らしい。
期待した通りの名優達の共演です。
じんわりと心に沁みる
クリントイーストウッドの渋い演技
映画に浸った
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