「何かが起きて何か変わったし何も変わらなかった」ウィーアーリトルゾンビーズ pecoさんの映画レビュー(感想・評価)
何かが起きて何か変わったし何も変わらなかった
ファミレスでよく売っていた携帯ゲーム機の形をした輪投げゲームを覚えていますか。中が透明な液体で満たされていてその水流でピンクやライトグリーンのプラスチックの輪っかを棒に引っ掛けるだけ。それだけのゲーム。カラフルな輪っかがふわふわと躍る液体のなかにファミレスの日常がとろみがかって滲んでいる。輪っかが棒に入ったところで何が起きるわけでもない。楽しいのかつまらないのかももはや分からない。でも何となくその時間は思い出すと愛おしい。エモい。エモいって古っ。この映画はそんな映画かもしれない。何かが起こる。けど何も変わらないかもしれない。でもゾンビな彼らにとって愛おしい時間があった。
とても良い映画だった。
何が劇的な変化を求める鑑賞者には物足りなく感じるかもしれないが私のような鑑賞者にとっては大切で決定的なものを得た気分だ。
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