「どうよ最近、与謝野ってる?」ウィーアーリトルゾンビーズ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
どうよ最近、与謝野ってる?
ただいまシーーン。
両親に先立たれ火葬場で出会った13歳のヒカリとイシとタケムラとイクコ。
何もかもどーーでもよくて、生きてるんだか死んでるんだかよくわからないリトルゾンビーズ達4人の、狭くて広い世界におけるレトロゲーム風冒険話。
開始1秒でハッとする、独特の表現方法。
演技力の高い子役たちに敢えてなのかセリフの棒読みを徹底させ、冷えたグダグダなテンションを保ちつつ、時に感情的に時にコミカルに忙しく描かれるので一瞬たりとも目が離せない。
バチバチにばら撒かれるインスタントカメラの写真のように、カラフルポップな映像要素の多さも好き。
話の整合性なんてどーーでもいい。
冷静な突っ込みダサッ。
変わり種のおとぎ話のようなベースに現実的な感覚も挟まってくる不思議なストーリー。
最初はこれからどう発展するのかとワクワクしていたけど、バンドやり始めた辺りからもう何でもよくなってきた。
彼らに興味も同情も応援も無いくらいでちょうどいいんじゃない?
わざとらしいくらいの無感情で空虚で冷め冷めなフリにはちょっと共感。
何にも期待せず、意欲も文句もなく、全てを否定するフリ。そうして自分の周りを固めてしまわないとすぐ崩れ落ちてしまうから。
本気でこれができるのは若く幼い頃に限定されているのかも。今の私は結構楽しいこと多いからなあ…。
エモいとか古っ。絶望ダサッ。は?無視でしょ。
子供たちがあまりにも色々と突き放すので、ついつい私も突き放しモードになったりして。
スマホゾンビの描写ダサッ。大人に喰われる子供とか現代ネット社会の闇っぽい要素入れてくるのもダサッ。
観客に「エモい」と言わせたい狙いがありありと出ちゃってるのダサッ。
でも、熱いとこあるでしょ。やるなら今でしょ。今今今今。4拍子の指揮振ってゴーでしょ。
ゾンビにも体温と感情と命があっていいでしょ。
初めての演奏シーン、トラックの爆走、最後の4人の歩みなど、ところどころでリトルゾンビーズの奥底で燃え滾るものが見えた時、すごく嬉しかった。
カフカの「城」のように、長くゴールの無い未完の人生、ボーーッと命を消費してても仕方ない。
どうせ死ぬなら死んでるならたまには何かやるのも良いし、思いつきで何かやめるのも良いのかも。
ブツブツ言いながら富士の下を歩く4人が可愛い。
びっくりするほどの豪華脇役陣が逆にノイズになってひたすら邪魔だった。
全員無名の中にいとうせいこうとさらば青春の森田が入るくらいで良かったのに。
ダラダラと永遠に観ていられる作品。
しかしどうしても弾け不足に思えることも。テンションぶち上げでもっともっと乗り切りたかった。
音楽が私の好みに沿っていなかったこともあるかも。
なぜか音楽が三浦康嗣だと思い込んでいて、そこが違って勝手にがっかりしてしまった。申し訳ない…。
リトルゾンビーズの衣装がリトゥンぽいなと思ってたら本当にリトゥンだったのが嬉しい。カラフルぐちゃぐちゃで可愛いよ。
パワーの強い言い回しが多くて楽しかった。
キミシニタモウコトナカレー。
完全に言わせようとしてきてますよ!!!笑
そもそも自分の感情の昂りを「エモい」だけでサクッと終わらせちゃう風潮が結構苦手なので、古いと突き放してくれるのは良かったんですけど。
作品自体がそのサクッと感から抜け出せていない印象でした。
嫌いじゃないしなんならあと二、三回は観られますけどね。
まんまとエモいなーと思ったところで「エモいとか古」と言われてガーンとしましたw
でもそうですよね、明らかに「エモい」と言わせにかかてますよね!
自分も嵌り切れないまま終わりました。パワーが欲しかったですね~・