「バッキバキの男社会で生きるとは。」ふたりの女王 メアリーとエリザベス だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
バッキバキの男社会で生きるとは。
エリザベスの影薄いなぁ、と思ってたら原題は『Mary Queen of Scots』直訳したらスコットランドのメアリー女王…エリザベスの影、そら薄いわ。
なんで2人の女王ってしたんやろ。メアリースチュワートの日本での知名度が低いから、エリザベスを担いだ?
なんでー。
邦題のミスリードを除けば、好きな類の映画でした。
とても視点が現代的です。
メアリーとエリザベスの生き様を、バッキバキの男尊女卑の男社会を、違うやり方で孤軍奮闘した女の子の物語として見られます。至る所でグッときました。
イングランドとスコットランドの歴史と、メアリーとエリザベスの系図がちょっとわかってると見やすいとは思います。公式ホームページくらいで十分かとは思います。
エリザベスのお気に入りくん(ロバート)がかっこよかったです。女王陛下のお気に入りで、アビゲイルと結婚して初夜を雑に扱われた彼と同じ人らしいですが、女王陛下のお気に入りの時は可愛さに気付かなかったわー。
ちなみにアン女王はスチュワート家の最期の王位継承者ですよね、確か。
メアリーの夫の父親役がダウントンアビーのベイツさんでした。ベイツさん悪い人やってましたが、影薄い役でした。
息子のヘンリーは、大変な小者で、あんなんでも夫やから偉そうにさしたらなあかんって、どんなクソゲー…と思いました。
メアリーは女王なのに全然敬われない感じが、辛かった。本人が幼すぎたって部分もあるでしょうが、臣下でありながら横柄さを隠す気のない男どもを、端から順に刺殺したくなりました🖤
男になるつもりで女王でいたエリザベスは、政治の面ではうまくやれた部分がおおいのでしょうが、抑圧した女としての欲望が、エリザベスを引き裂いている様が痛々しかったです。
イングランドとスコットランドの経済格差が背景でよく分かりました。スコットランド、寂しげな土地に見えました。
イングランド側の貴族かなんかに、アフリカ系っぽいの役者がいたのですが、彼を指して、時代を考えるとキャスティングミスじゃん?との、レビューを目にしました。
その意見は人種差別だと思います。
虚構なんだから肌の色なんでもええねん。日本のアニメは外国人を描くのに日本語しか喋らない。それと一緒で虚構なんだから(苦しい例えかな)、アフリカ系でもアジア系でもインド系でもありなの。
舞台のハリーポッターでハーマイオニーを白人でない子役が演じたときにも似たような意見がありましたよね。原作者が黒人のハーマイオニーも好きだってフォローしてましたよね。
過去を描こうが、未来を描こうが、披露しないほうが良い偏見を含んだ映画にするより、今、これから目指したい世界を描く映画の方がいいと思う。
見たことも想像もできない世界を、私たちは実現できないと思うから、綺麗事でもいちばん良いと思える世界を披露してほしいと思う。
なのでキャスティングはグッジョブですよ。
見る側がリテラシーを更新すべきでしょう。なんちて。