「あれこれ気になりつつも観て良かったと思える映画」Fukushima 50 まりぽっささんの映画レビュー(感想・評価)
あれこれ気になりつつも観て良かったと思える映画
※原作『死の淵を見た男』未読
終始、心苦しさを抱えながら鑑賞した。
今まで関東以外の地域に住んだことのない私はずっと東京電力のお世話になっているわけだが、福島にある原発が支える電力は全て関東圏に供給されているのだと思うと、この出来事は全くもって他人事とは言えないからだ。だからと言って自分が何か出来るわけでもないという現実が、この感情をより膨らませるのだと思う。
風化していく悲惨な出来事の実態が何だったのか、日本で暮らす者全てが知るべきその詳細を、映像作品で見ることが出来るのがこの映画の価値となるのでは。
それに役者陣が何とも豪華!オールスターとはよく言ったもんだ、どこを切り取っても醜い演技が無い。
一方、演出面に少々気になるところが複数。
まず、特攻を想起させるような描写。命をかけて任務遂行に向かったものの状況が許さず断念した所員が使命感から自責の念にとらわれてしまう光景など。所員たちの勇敢な行動が安っぽく見えてしまう。
そしてもう一つ、総理大臣の描写に悪意を感じた。東電上層部の落ち度を描きつつも対応遅れの原因がまるで総理大臣の介入かのような描き方には違和感。終いには事故の原因を「自然を甘く見ていた」などと一言で決着??なんだかそれじゃ、そこまで散々描いた命をかけて闘った現場の所員たちの勇姿も霞む。
それと、米軍は無理に組み込まなくても良かったんじゃないかなぁ… オチの部分は特に。忖度してるの??
ところで、ポスターに書かれたキャッチがいまいちピンと来ない…
「奇跡は起きると、信じたからこそ-」
変に気になるところは多々あれど、観て良かったと思う。
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