劇場公開日 2020年3月6日

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「個人的にはボヘミアンラプソディ以来のヒット作」Fukushima 50 臥龍さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5個人的にはボヘミアンラプソディ以来のヒット作

2020年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

全体的にはあまり評価が高くないようですが、個人的にはボヘミアンラプソディ以来のヒット作で、何度泣いたか分からないくらい泣きました。

福島原発事故のことは自分もブログに書いたりして、理論的にどういう事故だったのかということは、そこそこ深いレベルまで理解していましたし、自分は理系の人間なので、メルトダウンや水素爆発の経緯も科学的には理解できていたのですが、現場レベルでどういうことが起きていたのか、どういう状況だったのか、それが非常によく分かる映画でした。

もちろん、映画ですから大なり小なり脚色はあるでしょう。しかし、それを差し引いても『おそらく現場はこれくらい酷く、切迫した状況だったんだろうな…』ということが手に取るように分かる映画でした。そして、現場の人間と東電本部との距離感や温度差、無理解で取り乱した当時の官邸の様子もよく分かりました。

死の恐怖が間近に迫りながら、やれることはすべてやろうと必死で作業した現場作業員の勇気には敬服するばかりです。と同時に、原発に無理解な政治家が権力を振りかざして『これは命令だ』と、トップダウンで現場の作業に横槍を入れる理不尽さは見ててただただ歯痒かった。

映画とは関係ない話ですが、事故前には国会でも、原発の全電源喪失に備えた安全対策が必要ではないか、ということが議題にあがっていました。しかし『我が国の原発は世界一安全だから対策は不要』と答弁し、たった数十億円の非常用電源の設置費用をケチり、このような大事故を招いたのは、他でもない当時の安倍首相でした。それを考えると、どのツラ下げて、もう一度首相をやろうと思ったのか、彼の人間性には甚だ疑問を感じます。

東電にしろ、政治家にしろ、もう少し責任感をもって仕事に臨んで欲しいと切に願います。あまりにも無知だし、あまりにも他人事だし、あまりにも無責任です。その泥を被るのは他でもない、現場の人間であり、周辺住民なのです。その責任をもっと感じて欲しいと思います。

臥龍
舞人さんのコメント
2020年3月16日

くそむかつくクソどもも
映画としてしっかり表現されてましたよね。
伝えたいのは災害のことだけじゃない。現実的な立派な映画でした。

舞人