劇場公開日 2020年3月6日

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「死ぬかと思った」Fukushima 50 piさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0死ぬかと思った

2020年3月10日
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これ、内容ほとんど知らずに見たんですけど、
怖すぎて死ぬかと思いました。
深呼吸して、大丈夫大丈夫と自分に言い聞かせながらやっと最後まで見る事が出来ました。
福島第一原発の問題はいまだ解決してないとはいえ
いま私は何の問題もなく平和に(関東地方で)暮らしているという事実があって、
スクリーンの向こうの戦いがとりあえずは無事に終わる事が分かっていなければ
この映画を最後まで見る事は出来なかったと思います。
そのくらい怖かったです。
作られた映画でさえも放棄して逃げ出したくなるほどの、とんでもない、
緊急とか非常とか、そんなレベルの言葉では全然足りないくらい大変な事だったのだなと、恥ずかしながら初めて理解しました。

対岸よりずっと遠いところの火事くらいの感覚であの水素爆発とかのニュースを見ていたんだなと気づきましたし、なんとなくテレビで見ていたあの建物の中であんなにも極限に追い詰められている人たちが何人もいたなんて、知ろうともしなかった自分が情けない。

とにかく、これはあの震災をリアルタイムで見ていた日本人にとってはとんでもない映画です。よくこれを作ったなと、感心というか放心というか、私の少ない語彙力ではそれを表すことも難しいですが、見て良かったというのは間違いないです。

SNS等でなんとなくレビューのようなものを見かけた時に
「総理を無能に見せて、実名を出さない事で糾弾を逃れている」とか
「内閣を悪者に、現場の職員が立ち向かう分かりやすいヒーローもの」とか
「米国がいちいちうるさい」
そんな意見をよく見かけたのですが、実際はどれも違いました。
誰が悪で誰が善という構図ではありませんでした。
ただそこで起こっていたことを忠実に伝えているだけでした。
総理も東電本部も現場も、全員の必死が伝わってきました。
立場は違っても、やれることはとにかく何でもやろうという気持ちは同じだった。本気でそう思い実行していたという事が分かります。
日本だけで対応できるだろうかと米国が心配する気持ちも分かりました。
それほどの事態だったという事です。

最後に、
あの震災のトラウマのようなものをまだ持っていたり、
思い出すのが怖いという人にはあまりオススメ出来ないかもしれません。
(この原発事故に対して)対岸の火事程度の感覚で楽観的に当時見ていた私でも、この映画を見るのはまだ早かったかもしれないと思ったくらいなので、
恐怖心が残っている方が見たらもっとずっと怖くなってしまうと思うので
覚悟がある人だけ見た方がいいと思います。

pi